ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

セバスチャンのいる人生

前回の更新からずいぶん日が経ってしまった。

日本の友人からは死亡説が出るほどやや心配をかけた。

とっくに休みも終わり基本サンパウロに戻って比較的平穏な日々を送っていたのだが、こちとらこち亀の200巻を読んだり、キングオブコント2016を観たりと私にとっての最重要ミッションをこなすためとても忙しかったので、更新が滞って心配をかけた友人もどうかここは大目に見て欲しい。

冷蔵庫の中のものや飲み物が消えたり(犯人は大家のレオ)、お掃除のおばさんと私が喧嘩したりして緊急住人会議を開くなどとトラブルもあったのだが、サンパウロの暮らしは自分にとってやはり落ち着く。

それはかなりの部分同居人のメキシコ人セバスチャンのおかげによるところが大きい。

大家のレオとファビオは週のほとんどを中距離バスで1時間以上かかる街で過ごしておりたまにしか帰って来ないので、必然的にセバスチャンとの距離がぐっと近くなる。

セバスチャンは、なんというか、とてもチャーミングな男だ。

他人の感情の機微にも敏感で、私に嫌なことがあって落ち込んでいるといち早く察知し、何かあったのかい?と聞いてきてくれ、いろんなイベントに誘ってくれたり慰めてくれたりもしてくれる繊細で優しい人だ。

 

彼は“ラテン髭男爵”“メキシコ蘇民際”とも言うべく、むくつけの熊さんのような容姿をしているのだが、旅行中に知り合ったサンパウロに住むブラジル人とずっと連絡をやりとりをしているうちに恋に落ち、彼の勧めもあってブラジルに住むことになったというなかなか情熱的な経緯でここにいる。

f:id:joE:20161003113351j:plain

だが、いざ来てみるとその彼氏は日本でも有名な宗教の熱心な信者で、せっかくサンパウロの都会の真ん中の発展場近くの彼氏の家に招かれて住んだにもかかわらず、その宗教の集会以外での外出は許されず監禁同様の日々の中で彼との仲も険悪になり、もう帰ろうかというときにメキシコの領事館で観光課の仕事の誘いを受け、偶然レオとも知り合い、この家に住むことになったということだった。

 アメリカやイタリアに1~2年留学していたこともあり、映画なども英語でほぼストレスなく観られるほど英語が堪能で、まだブラジルに来てから1年ほどだというのに私よりポルトガル語もよほど流暢なので、ポルトガル語と似た言語のスペイン語圏出身とはいえ私からすると羨ましい限りだ。

 

彼に好感を持つにつれ、私もメキシコのことが気になるようになった。

ネットで軽くメキシコ人の国民性など調べ、メキシコ人はあなたのようにみんなそんなに陽気で面白いの?と質問すると、

みんな陽気だよ。でも僕はメキシコ人の友達からも陽気だねなんて言われてたかな、

と言うので、

彼はメキシコ人の中でもとにかく明るいセバスチャン、ということで間違い無いようだ。

 

夕食の時間が重なると、じゃ、今日は私が(僕が)何か作るけど食べるかい?と料理を作り合い、お互いのことやお互いの国のことなど話しながらごはんを食べるのもとても楽しい。

ごはんを食べる前に私が手を合わせ“いただきます”と言うと、彼もそれに倣ってたどたどしく“イタダキマース”などと言ってくれる様もとてもおりこうさんでかわいらしい。

あまり好き嫌いは無く、ほとんどのものをおいしいおいしいとたくさん食べてくれるのでとても作り甲斐がある。

ラーメンに入れた自家製チャーシューをとても気に入ってくれて、ふた切れのっていたそのひとつを最後まで残し、ああ、おいしすぎる、、食べたいけど食べるのがもったいないよ。。。と慣れない箸使いでちょいちょいとつついては躊躇して見せ、今までの人生で食べたお肉の中で一番おいしいよ!!などと手放しで褒めてくれる。

これを読んでいる旦那様方もメキシコのゲイを見習い即刻妻の手料理を食べたら涙を流して喜ぶべきだと思う。(※別にセバスチャンは泣いていない。)

彼の料理もなかなかの腕前で、メキシコから取り寄せたハバネロのタバスコなどを振りかけた本格的なメキシコ料理を振舞ってくれたりもする。 

 

こないだは私の作った麻婆豆腐と春雨スープを食しながら、日本語でよく使う汚い言葉は何だ?という話になった。

こちらでよく聞かれる質問なのだが、ポルトガル語に比べて汚い言葉というのは日本語にはあまりないように感じているのでそのように述べた。

ではPUTAという言葉は無いのか?ゲイシャ(芸者)と言うのか?と言い募ってくる。

うーん、直訳するとPUTAは売春婦だろうが、悪口を言うときにあんまり使わないよなあ、、、強いて言えば売女(バイタ)だろうか。

さらにVAGABUNDOは何と言うのだ?と聞かれ、バガボンド、、、放浪者という訳はブラジルで使う意味とはちょっと違うよなあ、、、。

考えあぐね、バガボンド、それは日本の若者言葉?でチャラ男と言うのだとちょっと適当に答えた。

 

興味深そうにうなずいたのち、閃いたというようにセバスチャンは、こう言った。

 

 

 

 

『モシモシー、チャラ男ー?ワタシー、売女。』

 

 

 

セバには以前から折に触れちょっとずついくつかの日本語を教えたりしていた。

彼の中で何かが繋がったのか、いくつかの知った単語をつなぎ合わせ、ひとつの文章にしてみせた。

 外人特有のなまりによってこの売女の頭のイっちゃっている感じがほど良く表現されている。

 

この売女は自分が“売女”だということをチャラ男という男に対してどうしても伝えたかったらしい。しかも、電話で。

その状況や関係性を想像すると可笑しくなり、

 

な、なぜ、、売女は、、、わざわざ、、、で、電話するの、、、? チャ、チャラ男に、、、、?

 

と、ひーひーと笑いながらツッコむと、彼は“もしもし”というのを“こんにちは”的な挨拶のひとつだと思い込んでいたらしく、それにしてもと一緒にしばらく笑い転げた。

彼は爆笑すると笑い声が出なくなるタイプで、声を出さず顔と全身で爆笑を表現するので、その誘い笑いにつられこっちもさらに可笑しくなってしまう。

 

ベランダに出たら扉が開かなくなったので内側から開けてくれと私が懇願すると、ガラス戸の向こうで耳に手を当ててわざと聞こえないゼスチャーをするお茶目なセバスチャン。

サンバやファンキの腰の動きを覚えたいというので鬼コーチ(私)に違ーう!もっと腰をこう突き上げて!!と、しばかれながら真夜中の台所の冷蔵庫前で懸命に腰を振る汗だくのセバスチャン。

大声でオペラを高らかに歌いながら帰宅し私にジェントルマンがするような挨拶をして華麗なターンを決めセクシーポーズを取り、そのまま何事もなかったかのように歌いながらどこかへ去っていく自由なセバスチャン。

音楽とダンスをこよなく愛し愉快で心優しい彼のことを私はすっかり大好きになってしまった。

 

だが彼の仕事の契約は今年の2月までで、その後はどうなるか、どこに住むかもわからないと言う。長くいても今通っているブラジルの学校も9月で卒業できるので、その後はメキシコに帰るつもりでいる、と私にとってとても悲しいお知らせをしてきた。

 

ブラジルで暮らしていると、日本にいた時と比較して数えきれないほどの別れが訪れる。

私のこちらでの日本人の友人や仕事関係者は日本から2~3年の長期滞在者や駐在関係者が多く、大好きになった人たちとのせつない別れを何度も何度も経験している。

慣れてはいるし覚悟はしていても、帰国が決まった友人やレッスンに来てくれていた生徒さんとの最後の日にはその場では堪えても帰り道や家に帰ってからおいおいと泣いてしまったり、時には目の前で涙が止められなくなることもしばしばだ。

 

 セバスチャンには一緒に暮らしているせいか、既に家族のような情愛を感じてしまっている。

例えるなら、彼がどこで何をしていても構わないが、私がいないときにひとりでごはんを食べているのを想像したりすると、ひとりぼっちで寂しい思いをさせてしまってはいないかといたたまれなく胸が痛むような、そんな感情だ。

メキシコは日本と少し似ている封建的な部分があるようで、彼も自分がゲイだと言うことを幼いころから気が付いていながらも隠さなければならず、ずいぶん悩んだりつらい目に遭ったりもしたらしい。

自分の意志で変えるとかいう問題ではないただ持って生まれた性質のせいで、あのかわいらしい愛すべき生き物が、誰にも自分の本当の気持ちを言えず認めてもらえずに悲しい気持ちを抱えて傷ついてきたことを思うと、今すぐなんとかして過去に戻ってすみやかに若きセバスチャンの元へと赴き不安な彼を抱きしめてナニモシンパイシナイデイイトイイ、彼を苦しめたり意地悪をする人の前に仁王立ちして彼を守ってあげたいという衝動に駆られるのだった。

なので彼との別れの日を思うだけで今からもう泣きそうになる。

つーかなんなら今も書きながらすでに半泣きだ。

現代はインターネットも発達しているし、いつでもすぐに連絡も取りあうこともできる。

二度と会えなくなるわけじゃないのだから、絶対にまた会えるから、と泣きじゃくる私に向かって去っていく友人たちは皆そう言った。

そんなことは私にだってわかっている。

数々の別れの経験の中で、また会うことはできたとしても、でも、それでも、もうこんなふうに近く住んで腐れ縁の幼馴染のような、嫌というほど顔を合わせてたわいもない事で笑いあえたりする、そんな幸福な日々は二度と来ないことを私は知っている。

二度と会えない訳じゃなくても、今後の関係は今とは違うものになり、二度と同じ日々を過ごせることはない。

それを知っているから、もう充分に大人になってしまっているというのに、いや、だからこそ堪えきれずいつも私は泣いてしまうのだ。

いつだって旅立つ者よりも残された者のほうがつらい。

 

そしていつかお互いの知らない遠い町で知らぬ間に生きてそして死んでいく。

灯台に明かりをともすようにときどきお互いの状況を知らせ合うことがもしできたとしても、同じ空の下で近しく過ごせる時間はとても僅かで、さらに遠く離れてしまっては、極端なことを言えばお互いの死に目に合えるということもないだろう。

 

 

だけど、私の失敗ばかりのポンコツ人生の終わりが来た時に神様が、

 

ほほう、あなたはわりと残念な人でしたが、それにしては良い友人がたくさんいたようですね。。。ほう、メキシコ人の陽気で心優しいセバスチャンという友人も、、、。

あなたのずぼらのせいであまりその後はたいして連絡を取れていなかったようですが、、、。だがこれはなかなか楽しそうな人生でしたね、、、うーん、よし、特別にあなたは天国行きで!

 

と、おまけしてくれるような気がする。

 

だって、純日本人の私にして、メキシコ人の陽気で優しい友達のいた人生と、メキシコ人の陽気で優しい友人のいない人生との、どちらかが豊かそうだったかと問われれば、インパクトから言ってもきっと皆セバスチャンのいた人生のほうが良い人生じゃないかと判断するに決まっている。

少なくとも私ならぶっちぎりでそう判断しよう。

 

 

セバスチャンからいつまでここにいるかわからないとの報告を受けた私が、いじけて泣きまねをしながら帰ってしまったら嫌だと言うと、

 

いつまでここにいられるかはわからないけど、でも、できるだけ一緒に楽しもうね、と言って彼は笑った。

 

そうだ。

たとえ人生の中での少しの間を生活を共にできるだけだとしても、彼と一緒の時間をできるだけ楽しく過ごしたいと私も願う。

 そして私がセバスチャンを通じてまだ見ぬメキシコの地を好きになったように、私も、私を通じてセバスチャンが日本を好きになってくれるような人でありたいな、と思う。

 

 

ここサンパウロの現在の家に住む前には女子3人くらいでシェアハウスをして秘密トークのパジャマパーティーを開催することを熱望していた私であった。

 

実はセバとはたまにお互いの恋愛トークなども夜な夜な繰り広げている。

 

ある日、セバスチャンとここには内緒のガールズ&ゲーイズトークをしていた。

 

 

その日、彼はパジャマを着ていた。

 

 

 

 私の野望は思い描いていたものとは多少異なりながらも、彼のおかげで想像していたよりももっとゴキゲンな形で、気がつけば叶えられていた。

 

疑惑の隣人2/と近所であった殺人事件

しょっぱなから剣呑な題名で申し訳ない。

 

寒い日が続き、オリンピックの閉会式の疲れなどもあって洗濯物が溜まってしまっていたので、奥の手で大家サンドラさんの洗濯機をお借りする計画を目論んだ。

天気の良い日ならまだ良いのだが、洗濯物がたくさんあると脱水までオール手洗いのため絞るときに力が入りすぎて親指と人差し指の間の水掻き部分の皮がむけてしまったりすることがあるからだ。

あさってから非常に珍しく日本から友人が泊まりに来ることもあって、おんぼろ宿と言ってもちょっとした厚手の毛布なども洗っておもてなしに備えたいと考えた。

しょっちゅうだと迷惑なので日ごろはほとんど手洗いで済ますが、体調が悪い時や悪天候が続いた時などには以前から洗濯機を借りられる夢のフリーパスを既にゲットしていた。

家賃の支払いがてら1階にあるサンドラさんの家を訪ねると、最近洗濯機の扉が壊れてしまい動かなくなってしまっているので貸せないと、家に呼び込まれ現物を見せてもらった。

ちぇっ。

仕方がないので洗濯機をお借りすることは諦め、家賃の領収書を受け取る間に居間のソファに座れと勧められたので世間話をする。

サンドラさんは私の隣の部屋に住むハム子のことは決して自分の家に上げないが、私のことはちょいちょい招き入れてくれる。これもひとえに日ごろから真面目に生きている私の人徳と言えよう。

 

そういえばと干していたブラジャーが失くなっていた話をすると、

joe.hatenadiary.com

またあの子(ハム子)にやられたわね!

と何かをつかみ取るようなゼスチャーをしながら0.3秒ほどで結論を出した。

そしてまた彼女のパクリ癖・虚言癖がいかにひどいかについて語り出す。

 

隣人夫妻がここに住み出した頃、隣駅の薬局で職を得、夫は品出しなど、ハム子はレジ打ちの仕事に就いた。

何日か経ったある日、ハム子のレジから1800レアル(当時9万円ほど)のお金が無くなり大騒ぎとなったそうだ。

当時の最低賃金の倍を超えるくらいなので、こちらでこの金額はかなりの大金だ。

証拠は出なかったものの真っ先に疑われ、それなのにハム子が警察に行くのを頑なに拒んだため夫とともに即首を切られた。

いくら警察に行けって言ってもきかないのよ!?そんなのおかしいでしょ?とサンドラさんは語る。

また、ここに住む前その夫妻は近所のファベイラ(貧民街)に住んでいたのだが、そこで3000レアル(当時15万円相当)分の大量の服をそのファベイラの卸の業者から後払いのローンで支払う約束で買った。

だが彼女は品物だけを受け取り、催促しても何か月もお金を払わず、あまつさえもう着たおした服を返すからそれでチャラにしろ、と言ってのけたらしい。

そこで怒ったその卸の人がギャングに頼みハム子を拉致監禁し殺すと脅し、それをハム子からの電話で聞いた旦那さんがほうぼうに借金をして慌てて迎えに行ったこともあるそうだ。

迎えに行ったときはファベイラの一室に閉じ込められ後ろ手で縛られ髪をざんばらに切られた姿で泣きじゃくっていたという。

ところで髪を切ったり刈ったりするのはブラジルのギャングの、女の人に対する見せしめとしてはポピュラーな手段だと現地の友人に聞いたことがあったので、それからというもの坊主の女の人を見ると、もしやあの人も、、、?とドキドキしてしまうようになっている。

ギャングはそういうことを一度でもする奴はまたやるからと決して許さない。

そういう理由でそのファベイラに住み続けることはできなくなり、近所に住むハム子の母親が部屋を用意してくれとサンドラさんに頼み込んだ結果、ここへ引っ越してくることになったそうだ。

そんな目に遭っても懲りない女、ハム子。

聞けば近所中からお金を借りまくり、未遂に終わったものの中二階に住む年の差カップルの夫にもつい最近100レアル貸せと言ってきたそうだ。

彼はいい奴なのだがなかなかに女癖が悪く、奥さんが不在のときにおねえちゃんをたびたび連れ込んだりしているので(私も早朝に派手めの女の子がするりと彼の家から出ていくところを目撃したことがある)何の関係も無いのに100レアルも借金に来るわけがない!さては、、、!?とその妻とサンドラさんとで疑いをかけ問い詰めたらしい。

日ごろの悪い行いのせいで強くは出られない彼でも、

あれだけは絶対に無い!僕にだって好みってものがあるよ!と必死に反論していたとサンドラさんはきしし、と笑った。

 

さらに彼女には虚言壁もあるようだ。

近くに住む住人が悪いことをして警察官に殺されたというのをハム子から聞いたので、たまたまその後に会った近所に住むハム子の父親に、そういえばそこで事件があったっみたいだけど、どうなっているのかしらと聞いてみたという。

ところがそれは犯罪に関することでもなくちょっとした小競り合いで足を軽く刃物で切ったとかそういったたわいもない話で、

近所の人が悪いことをして殺されたなんて、よくもそんなひどい噂を流す奴がいるな!そんな奴は俺がぶん殴ってやる!!

と激高され、

それはあなたの娘さんですよ、

とは言えず黙っていたという。

 

さらには現在刑務所で暮らしているハム子兄の元彼女が今でも毎週のように刑務所に訪ねているとでっちあげの噂を流し、それを聞きつけた今はもう他のギャングの情婦となっている元兄彼女が怒り狂って彼女の家を訪ねて来て流血の大乱闘を繰り広げたこともあるという。

そのキャットファイト現場に居合わせたサンドラさん曰く、仲間を引き連れた元カノ陣営と3対1の不利な状況にも関わらず、負けじと彼女も自分の体格を利用した重量感のあるパンチを何度も顔面にヒットさせ応戦し、なかなかのファイターぶりであったという。

ブラジルの刑務所では月に1度犯罪者の奥さんや恋人との性交渉を認めるという世にも珍しい制度がある。

http://www.nikkeyshimbun.jp/2005/051209-32brasil.html

なので、元彼女がそこに通っているということは、刑務所にいてもその兄と関係があることを意味しており、今のマフィアの彼氏に浮気と疑われれば下手したら彼女の命に関わるほどの大問題なのであった。

マフィアの彼女や奥さんが浮気をして殺されたなどという事件はここではよくあることだそうだ。

 

ハム子をぼこぼこにした後で、今度どこかで会ったら必ず殺す、と言い捨てて元カノは去っていったらしい。

実際そういう世界の人は恨みがあれば私たちには考えられないくらいライトな感覚で人を殺すようなので、ハム子もあんまり変な噂話をしないようにしたほうが良いと思う。

 

そういえばそうそう、とサンドラさんから隣人の夫から今朝送られてきたばかりだという画像を見せられた。

二つ離れた駅に住む女性が行方不明になっていたが、今朝私の住む町で遺体になって見つかったという。

スポーツジム用のトレーニングウェアを着用していたという情報と、発見直後に撮られただろうその写真ではどこにでもありそうな狭い路地裏で、毛布をかけてはあったがそこからはみ出した手足や脱げて散らばっているビーチサンダルから見ても、どうやら若い女の人のようだとサンドラさんは言った。

そういった見慣れていない生々しい画像をふいに見せられてしまいとてもショックで、脳裏に焼き付いて今も離れない。

その彼女が何をしたのかはわからないが、ラフな格好で金目の物を持っていたとも思えないので、先ほど話をしていたように何かマフィアに恨みを買ってしまっていてたまたま見つかって殺されてしまった、ということかもしれないと言う。

 

 近所で他殺死体が見つかったというだけでも恐ろしいのに、サンドラさんの話は刺激的すぎる。

 

 ブラジル怖いよう。

 

マフィアだって裏切ったやつや悪いことをした人に対してだけそういうことをする訳で、誰でもむやみに殺すということはしないので変なことをしない限り大丈夫だというが、サンドラさんのこのマフィアに対する絶大な信頼は一体何なのであろう。

 

それにしても、今回は怖い話になってしまった。

あんまり良い子じゃないとはいえ隣人の死体など見たくないので、ハム子は心を入れ替えてくれぐれも気を付けて暮らして欲しいと思う。

 

 

リオ五輪開会式・閉会式に参加してみた

リオ五輪の閉会式がブラジル・リオ・デ・ジャネイロ時間の昨日の夜に行われた。

感想を求められ何か一言、と問われれば、

 

寒かった。

朝から雨が降ったりやんだりしており、さらに強風吹きすさぶ中の本番参加中は、体感ではブラジルではあっても、これそのうち雪に変わんじゃね?と思わせるほどの寒さだった。

半そでの衣装のままずぶ濡れで凍え、やっとビニールのカッパがボランティアに支給されたのは式も中盤を過ぎるだいぶ後で、雨が小降りになった頃であった。

贅沢を言うつもりは無い。

だが今日は昨日に引き続きの寒さもあって、風邪をひいてしまった人が続出しているだろうと予想する。

ボランティア出演者として開会式から何度も練習に通ってきて、セキュリティーなどはしっかりしておりブラジルにしては頑張っている方だとは思うが、さすがブラジル適当さ加減がひどかった。

そのために途中で脱落している人もかなり見受けられた。

セレモニー出演と競技ボランティアを掛け持ちしている人も結構いるので練習時に電車から一緒に乗り合わせた掛け持ちのおばさんの話を聞いてみたところ、競技ボランティアはさらに大変なようで離脱する人も多く、休憩時間も少なく何時間も立ちっぱなしで仕事をし、しかもひどい場合はそもそも仕事内容すら何度聞いても教えてもらえないまま1日中ほったらかしにされたりして二度と来なくなった人もいるくらいだと文句を言っていた。

昨日もロッカー数が参加者やスタッフの数に比べて明らかに足りておらず、困る人が続出していた。

はなからこんなボヤき節ばかりで申し訳ない。

そう、キリがないので何を言ってもしょうがないのだ。ここはブラジルなのだから。

 

私の閉会式での役割はサウジアラビア選手代表の付き添いで、旗を持ったりしていた。

よし!!そこで石油王の息子であるエキゾチックな体操選手あたりに見初められるのだ!

と先走りがちな日本の友人から指令を受けていたのだが、なんと選手は前日に全員帰ってしまったとこのことで、他の国担当の子たちはコミュニケーションをとったり一緒に写真を撮って盛り上がっている傍らで、代表選手の代わりに配属されたこれまたボランティアの前歯の左側の歯が2本抜けた選手村で働いていたという陽気なおじさんとともに世間話をしながら待機場所の廊下で出演前の時を過ごす。

後で聞けば外国人の他の旗持ち役の子はこっそり自国の旗に変えてくれと頼み、戦後のような闇取引が成立していたと言う。

友達になった子に、だからあなたもそうすればよかったのに!と言われたが、他に日系らしき出演者もいたようだし、皆が自分の国の旗を持ちたいと主張したら大混乱になるだろうし、やっぱりずうずうしいよな、、、と考えたらとても言い出せなかった。

日本の旗を持てたらとても良い記念になったと思うが、一応私も和を重んじる日本人であるので、多分それを知ってからでもやはり取り替えてとは言わなかっただろうと思う。

 

今回の閉会式で一番良かったと思ったのは贔屓目かもしれないが日本からの演出だ。

ブラジル人も一線のプロとなると肉体のポテンシャルや技術、表現力ともに素晴らしいが、ピッタリと呼吸や動きをそろえるのはやはり日本人の器用さや真面目さにはかなうまい。

練習時から出演直前の待機通路では日本のパフォーマーたちが間近にいたが、皆緊張した面持ちで一様に同じポーズをとり微動だにせず、禁止されているのだろう写真にも応じず周りの雑音には目もくれない。

周りのブラジル人から

Oh,,,サムライ、、、

と言うつぶやきがどこからともなく聞こえてきたほどのストイックさで臨んでいたのも、ブラジル人とは異なるそのたたずまいがとても印象的であった。

ブラジル人であったらうっかり応援や写真に応じている間に出発の合図に出遅れるなんてこともあり得そうだ。

 

ものすごく緻密でダンスのクオリティーが高く、良くも悪くも日本だなあと感心した。

安倍首相のマリオも見たよ。

土管から出てきた安倍さんの姿が名前と役職とともに大きなスクリーンに映し出されると隣にいた子も、

え!!あのマリオは日本の首相なの!!??超ウケる!!!

と大爆笑していて、会場は大盛り上がりだった。

私もリハーサルで何度も日本からのダンサーのパフォーマンスは見ていたが、土管から誰が出てくるかなどは知らされていなかったため、なかなか粋なことをするなあと驚かされた。

 

次の開催地は日本だということで、私が純日本人だと知った他のボランティアキャスト達から大注目され、執拗に私の日本の実家の場所や広さを聞かれた。

東京と隣り合わせた市に実家があると告げると、獲物を狙うハンターのようにじりじりと周りに4年後に訪ねたいという人が殺到し私の携帯メモリーをみるみる浸食していった。

まったく、みんな抜け目がないよなあ。

 

しかし普段知り合う機会の無い老若男女のいろんな人と話せたり、友達になれたことは私にはとても貴重な体験であった。

キャストにもいろいろなくくりがあり、他のグループでサンバ隊も出ていたのでその中に私のサンバの友達もたくさんいたのだが、何千人も集まるリハーサル会場においてひとりでもサンバ隊の人が現れると、知り合いでなくともこれはサンバの人だな、、、とすぐ察することができるほどとびぬけて派手で輩感にあふれており、練習時にもサンバ隊のへそ出しヒョウ柄のスパッツをはいた女子やゲイ丸出しのサンバダンサーが他のグループにいる私と次々と親しげに挨拶を交わすのを目撃され、え?なんで?日本人のあなたと??というように周りの同じグループの人たちに驚かれていた。これも良くも悪くもリオのサンバ界っぽいな、、、と客観的に、いかに自分がブラジルの中でも特殊なところに普段はいるのかを感じさせる一幕となった。

 

最後のカーニバルの演出ではサンバ隊が場内を1週した後でオリンピック出場選手たちも乱入してのお祭り騒ぎとなり、近くでも数人の日本人の選手たちがはしゃいで踊り子たちと写真を撮ったりしているのが見受けられた。

間近で見た生え抜きの代表選手たちはどなたもとてもカッコよく見えた。

私とも写真を、と言ってくれた選手もいたのだが特に見初められた訳でも無く当然写真を撮ったらそれまでで、みごと日本の友人の期待に応えるという夢は叶えることはできず、予想通りリオオリンピック玉の輿杯ではサウジアラビアに続いて苦めの二連敗を喫する結果となった。速報。

 

 帰りは11時を過ぎており1本で帰れる電車が終わっている時間で、仲良くなった子が彼氏が迎えに来てくれるので送って行ってあげる、と申し出てくれた。

彼女の名前は『タバタ』といい、都内の友人も住むその町に愛着もあり親しみを持ったのをきっかけに特に仲良くしていたのだが、悪いと思い一回断るも、そんなに遠回りじゃないし彼氏も良いって言ってくれてるから!と強く勧めてくれたので、

タバタ、、、ああ田端、、、京浜東北線よありがとう(山手線も)

と、素直に受け入れさせてもらった。

彼女とは開会式から同じグループにいて、プライベートなことも話したり既に遊びに行く約束もしていて、日ごろの態度からも日本に来たいからというのではなく純粋に私に親切にしたいと思っているだけなことが伝わってきてとても嬉しく思った。

 

個人的には練習に通うのも結構大変だったりと楽しいことばかりでもなかったが、日本の友人が言ってくれたようにおばあちゃんになって、あー、リオオリンピック懐かしいねえ~、と反芻しとても良い思い出 となる日が来るのだろう。

 

何よりタバタをはじめ、ボランティアを通じて良い人たちに出会えたということが今回の一番の宝になるかもしれないな、と思った。

 

 

オリンピックの選手の方々、式の出演者、スタッフのみなさん、お疲れさまでした。

 

 f:id:joE:20160823085702j:plain

疑惑の隣人-リオ・デ・ジャネイロ盗難事件

 

つい最近こんな記事を書いたばかりであるというのに、

joe.hatenadiary.com

 

実はリオ・デ・ジャネイロの自宅であるものを盗まれてしまっていた。

 

前回のカレーな日常でも少し触れたが、ある日洗濯物を取り込もうとすると、

干していたブラジャーだけが無くなっていた。

私のリオのおんぼろアパートは同じ階に4つほど部屋がある。各自バストイレキッチン込みの6畳ほどのスペースでひしめき合うように暮らしている。

洗濯機なども無いので、洗濯用タンクと、テラスとは名ばかりの物干し場も4つの部屋の住人たちで共同で使っている。

 

天気があまり良くない日で一昼夜を通して翌日まで洗濯物を干しておいたのだが、取り込む際に、一番手前の壁際に干しておいたブラジャーが無いのに気がついた。

ブラジャーと言っても背中がY字になっていて光沢のある生地で編んである、大胆なブラジル人ならトップだけでも装着可能な、言わば見せブラというやつだ。

さすがに下着っぽいものは自分の小部屋の窓の近くに干すようにしている。

 

おかしいなあ。。。昨日夜に帰って乾いてるかを確認したときはあったしなあ。。。でも、帰りにちょっと飲んでたし、無意識にブラだけ取り込んでどっかしまっちゃったとかか。。。?

 

とグレーなまま部屋の中を注意深くブラジャーを捜索しながら1週間以上過ごしたが、やはりどこにも見当たらない。

 

むやみに人を疑うのは良くないのでブログに書こうかどうか悩ましい日々を費やしていたのだが、

ぶっちゃけすぐ隣の部屋に住んでいる隣人が怪しい、と思う。

 

私は一番奥の204号室に住んでおり、隣の203号室にはここ3,4年ほど前から20代後半と見られる夫婦が住んでいる。

そう、以前ここにも書いたが、

joe.hatenadiary.com

 

このくだんの、手癖の悪さに定評のあるすぐ横の部屋に住む妻が怪しいとにらんでいる。

 

ただやみくもに人を疑っているわけではなく、証拠こそ無いものの疑うにはそれなりの根拠があるので、彼女との間で起きた数々の出来事をお話ししたいと思う。

 

まずは隣人夫婦が引っ越してきてすぐのクリスマスの日、妻が私の家の扉を叩いた。

おしゃれするのにピアスのキャッチが見当たらないので貸してくれ、と言うのだ。

そのときはまだ本性を知らなかったのでなるべく親切にしたいと思い、自分のピアスのキャッチの一つを取って彼女に渡した。

ブラジル人の貸しては=ちょうだいと同義であることが多いので、まあ返ってこないだろうな、と思ったが案の定返ってこなかった。

まあ、これくらいはべつにいいけど、と気にしていなかったのだが、少しずつ少しずつ彼女は侵略を試みてきた。

 

ある日は平日の昼間に服を洗う洗剤が無いから貸してくれ、と言う。

彼女はいつも暇そうにしていて、専業主婦で子供もいない。

近くのスーパーや雑貨店はぶっちぎりに開いている時間である。

暑い日はドアの開閉式のガラス戸の下の部分を開けっ放しにしていたので、格子の隙間から洗濯用洗剤が見える位置に置いていたのを目を付けたらしい。

 

つーか、買いに行けばいいじゃん。

 

とは思ったが、洗剤がそこにあるのが見えているので持っていないとウソもつけず、その頃はまだなるべく隣人に親切にしたいという気持ちもあったので、変だと感じながらもそれを差し出した。

 

次は何かかわいいワンピースを貸してくれ、とお願いしに来た。

友達ならまだしも、そんなに親しくした覚えも無いのになぜ他人にワンピースを貸してくれといきなり頼んでくるのかの意味がわからない。

サンバの練習のために気張ってメイクを施しお洒落をして行くのはいわば踊り子の義務でありたしなみなので、そんな恰好で家を出る私を常日頃チェックして機会を狙っていたようだ。

ところで彼女は憎々しいほどに太っている。

背は低めだが、程度で言えば褐色のブラジル製渡辺直美といった具合の肥えっぷりだ。

 

いやいやいやいや。入んないって。絶対無理だって。

どう対処していいのか困惑してしまいとりあえず部屋の前で彼女を待たせたままいろいろ服を取り出してタンスをまさぐっていると、

 

これよ!これは私に似合うわ!!

 

と、ドアの隙間を押し分け甲高い声を張り上げながら断りもなくずかずかと部屋に入り込み、私がそのとき手にしていたワンピースを体型に不似合いな俊敏な動きでもぎ取った。

彼女は私が持っていた唯一といえるひどく伸縮する素材のそのチューブトップワンピースを素早くむりくり服の上から装着すると、

 

ほら!ピッタリよ!!ねえ!似合うでしょ!!

 

とドヤ顔で訴えてくる。

ピッタリどころかかわいかった花柄のプリントは何の柄だか判別できなくなるほどで、そこにはみしみしと縫い目の部分が果てしなく広がり悲鳴を上げている私のワンピースが。

 

ああ、のびちゃう。のびちゃうよう。

 

このワンピースはずいぶん前に買ったものでお気に入りであったが柄がトロピカルすぎてあまり着る機会の無かったものなので、仲の良い友達にだったらなんならあげても良いと判断したかもしれない。

だが何よりもそのすうずうしい態度がものすごく不愉快だったので貸したくない気持ちで胸がいっぱいになった。

どうしたものか躊躇しているうちに彼女の勢いに負けて断り切れなくなり、せめてもの抵抗で必ずすぐ返してね、と念を押して貸すことになってしまった。

 

だが案の定2、3週間経ってもとんと返しに来る気配など無く、催促しても返さないのでイライラと日々を過ごしていたところ、共同の物干しに洗って干してあるのを見つける機会に恵まれたのですぐさまひっぺがし無事奪還を遂げた。

そのまま放って置いたらさんざん着たおされ、二度と返ってくることはなかったに違いない。

 

またある日、洗濯機を買ったから使う住人たちでお金を出し合って欲しいと言われた。

洗濯機が無くとても不便に思っていたので、快くOKすると200レアルほど(当時1万円くらい)を援助して欲しいとのことだ。

その時家に現金はあったのだが、出がけであったので後で払うと約束して家を出た。

家に戻ってお金を用意するも、チョ、チョット待てよ、と心のキムタクが呼び止める。

何か香ばしい匂いがする。

彼女の話では電機屋で買ったところでもうお金を支払ってあるので、あとは届くのを待つばかりであるということだった。

しばらく様子を見た方がいいかもとお金を渡すのをのらりくらりとかわして時は過ぎ、案の定もう何年も経つのに洗濯機は一向に届く気配も無い。

のんびりしたブラジルだから、ずいぶん時間かかっちゃってるんだね。

と考えるほどに私はお人よしではなく、

その時何かに必要だったのか、後さき考えずに私を騙してお金をせしめようとしたようだった。

何故そんなすぐにばれるようなウソをつくのか訳が分からず、情報通である大家のサンドラさんにその件を告げてみた。

 

joE!ダメよ!!あの子には何も貸しちゃいけないし、何があっても隙を見せちゃいけないの!

近所に住む彼女の実のおばあさんだって、彼女が家に遊びに来ると家にあるいろんなものが無くなってしまうっていっつも愚痴ってるのよ!私だってお金を貸して返ってこなかったこともあるし。だから彼女を私は絶対に家にも入れないの。

スウェーリョ(202号室に住む推定90歳くらいの老人)だって、置いておいた年金が無い!無い!って何度か騒いでて、証拠がないから言わなかったけど、絶対にあの子がやったに違いないのよ。悪い子じゃないけど、盗み癖があるの。

旦那さんのほうは働き者の誠実でいい子よ。彼女が返さなかったお金をこっそり返してきたのも彼。彼も彼女のそういうところは本当はわかってて黙ってるの。そのうえ彼女は働きもしないくせにお金が無いって彼に文句ばっかり言っていっつも大声で怒鳴って大騒ぎして。ここはファベイラじゃないのよ!あんまり下品なケンカばっかするなって言ってやるわよ!あの子はだめよ!そのうち彼にも愛想をつかされて落ちぶれてヤクザの情婦になるくらいしか道は無いのよ!

 

と、堰を切ったように暴露話が止まらない。

 

サンドラさんは悪い子では無いと言っているが、老人たちの年金を盗み、隣人を騙そうとする人間はわりと悪い子だと思うのだが皆さんどうだろう。

 

まあでもぎりぎり私にそれほど実害は無かったので、それからは気を付けて挨拶などはするがかなり距離を置き、何かを貸せと言われても持っていないと言い張ってしのいでいた。

 

私は強盗などの被害に遭ったことは無いと書いた。

道などでそういった被害には真実今まで遭ったことはない。

が、実はこのブラジャー事件の、ちょうど1年前にこの道を通った夜、ではなく、ちょうど1年前の昼に家の引き出しに小分けにして入れておいたお金が盗まれたことがある。

 何日か前から家の鍵の調子が悪くて、しまいには鍵を入れてもどうにも回らなくなり完全に鍵がかけられなくなってしまった。

その日の夜にサンパウロに帰らなければならず、しばらくリオの家を留守にするので家の鍵が壊れてしまっていては家を離れることはできないと、不用心だと思ったがちょっとの間、鍵をかられないまま家を出て駅のそばの鍵屋さんを訪ね急いで15分ほどで戻ってきた。

出がけに鍵屋に支払うお金を念のため引き出しから出し、残った現金を別々にしておこうとそれぞれを3つの財布に分けたばかりだった。

リオからサンパウロに帰るためのバスの運賃100レアルと予備のお金の100レアル、そして細かいお金30レアルほどをそれぞれ別々の財布に分けて入れ、引き出しの中に保管して家を出た。

 

鍵屋さんを連れて戻り、これは最新のものにしないとまたこういうことが起こるかもしれないから錠ごと変えた方がいい、と言われ、そうするとお財布に入れておいた金額では足りなくなったため、引き出しを開けると3つの財布の中のすべてのお金が忽然と消えている。

うっかり者として世に名を馳せる私ではあるが、ほんの15分前に小分けにしたばかりのお金なのでさすがに鮮明に覚えている。

手元のお金が足りなかったので錠前は新しいものには取り替えられず、とりあえず今の鍵で使えるように直してもらい鍵屋さんにはお引き取りいただいたのだが、

 はて、お金はどこに行ったのだろう。

それでも自分の勘違いかもしれないと家中を家宅捜索するが、やっぱりお金はどこにも無いし、出かける直前にお金を小分けし引き出しに入れてから出かけた記憶がさらにはっきりとしたものになってゆくばかりである。

 

やられた。

これは盗まれた。

 

私が鍵屋さんに向かってアパートの前の道を歩いていたときに見上げると、窓から外を眺めている隣人の姿があった。

私が鍵屋を連れて戻った頃には出かけていたようだが、彼女はそのとき確かに在宅していた。

壁の薄い安アパートでは隣の部屋の鍵をかける気配が無かったのさえ察知することは難しくないだろう。

 

家探しを一通りしてこれは盗まれたと確信したので、大家のサンドラさんを呼び事情を話す。

 

やられたわね、絶対にあの子よ。

 

詳しい事情を話すまでもなく、彼女は断言した。

鍵屋さんに出かける時にサンドラさんに部屋を留守にする間見ていてもらおうと呼びに行ったのだが、その時は教会に行っていたらしくちょっと前に戻ってきたところだった。

サンドラさんには何度も合鍵を預けていたこともあるし、彼女は決して人のお金に手をつけるような人ではないことを知っているのではなから疑っていない。

 

私の部屋はおんぼろで狭く貧乏人しかいないアパートで、通りすがりの空き巣に狙われるようなところでは決して無い。

門を通って狭い階段を上がった3階の廊下の奥の突き当りに位置しており、わずかな間にたまたまコソ泥が通りかかり目を付け忍び込み引き出しにあるお金だけを抜き取るとは考えにくい。

f:id:joE:20160823230512j:plain

f:id:joE:20160823230523j:plain

このアパートを良く知る内部の犯行であるのは間違いないと思われた。

その時他に在宅していたのは202号室の老人だけだが、尿漏れがひどく歩くのもおぼつかないよぼよぼのおじいさんなので、すぐに戻ってくるかもしれない私が部屋にいないのを察知し自由の利かない体で隣人のお金を盗むほどのアグレッシブさは持ち合わせていないだろう。

 

どうしたものかサンドラさんと緊急井戸端会議をしていると隣人がスーパーの袋を抱えて帰って来た。

サンドラさんが事情を告げると

まあ!!なんてこと!!!私は出かけていたし何も気が付かなかったわ!!

誰かよそ者が部屋に入ったのね!!!ああ、怖い!

とものすごい大仰でオーバーすぎるのではないかというリアクションを返してくる。

彼女の見えないところでサンドラさんと目くばせをする。

 

ね、joE、あやしいでしょ?

うん、サンドラさん、あやしいね。

 

と、何も言わなくても目を見ればお互い何を言っているのかわかった。

こんな時ではあるが遠い国の友人と心を通わせるのに言葉なんていらず、世界はひとつだと感じさせる感動の一瞬だ。

 

目くばせをする私たちに気づかず、この前近所でこんな泥棒が入った、とかやっぱり202号室の老人のケアをするために住人でない人が入り込んだりするのが危ないとか、ベラベラと不自然なほどな熱で外部犯行を主張し語り続けているのがますます怪しい。

 

私が留守にしたのは昼の2時くらいからのほんの15分の間であり、

 サンドラさんも言うには貧乏人しか住んでいないと明らかにわかるこのアパートはそもそも空き巣に狙われるような対象ではなく、

(ファベイラのそばと言っても住宅街なので、はるかにお金がありそうな一戸建てやアパートがまわりにごまんとある。大きな通り沿いでないし近所は知り合いばかりなのでよそ者がいたらすぐに気づかれるようなところだ。)

通りすがりの泥棒であったら金目のものは全部持っていくはずで、パソコンは手付かずで財布ごとでもなくお金だけを抜き取るのはおかしいとの推理を名探偵サンドラさんは披露していた。

サンパウロに帰る前だったので部屋には最後にしまって持って帰ろうとテーブルの上に日本製のパソコンを置いたままにしてあった。

パソコンなどの物質を盗んでしまうと家に隠しても万が一踏み込まれた場合れっきとした証拠になるしどこかに売るにしてもそこから足がつきバレる可能性が高くなるので、瞬時に隣人がそれを計算してお金だけを抜いたのだという見解だ。

また、老人のケアをしている人は皆身元の知れた人であり、何日かに一度訪れる程度でそれより奥にある私の部屋の鍵が開いていることを察知して短い時間の間にお金を盗むことはまずあり得ないという。

身体はよぼよぼであるが頭はしっかりしているその老人にも確認したがその間には誰も訪れなかったと証言している。

 

サンドラさんの助けを借り、警察に電話する。

隣人があやしいとサンドラさんが事情を説明してくれるも、それほど大きな金額ではないし現行犯でないので今から警察官を現場へ急行させることはできず、警察署に被害届を出しに来いという。

 

 確かにたいした金額では無いし、歩いて行ける距離に交番も無いので、バスに乗って行った警察署で何時間も待たされ何も解決しないであろうことは予想でき非常にうんざりしたのだが、ここで泣き寝入りをしたら女がすたる、と力をふりしぼって警察署を訪ねることにした。

サンドラさんの助言では、このままこの隣人を野放しにするとエスカレートする恐れがあるので、警察に行っていろいろ話したという事実が彼女を脅かす抑止力になるだろうと言う。

言われてみれば確かにその通りだ。

ここブラジルでは、少なくともこの地域では、悪いやつらになめられたら骨の髄までしゃぶられるサバイバルな暮らしがある。

ここで、何か事が起こったら決して黙ってはいないぞ、とアピールするのはとても大事な事に思えた。

 

 なので警察に行く道すがら、知り合いという知り合いに話しかけお金が盗まれたことを言いふらして歩く。

みんな警察に行ったって面倒なだけでお金も戻って来ないだろうし無駄だと思うよ、と意見を述べてくれるが、もはやそういった問題では無い。

 

これはハム子(仮名)と私の、食うか食われるかの弱肉強食の戦いなのだ。ハムだけに。

 

ひとり警察の門を叩いたものの、やはり解決策は何もなく、明日か明後日に現場検証のために来てくれることにはなった。

私は翌日の仕事のためどうしてもサンパウロに帰らなけらばならなかったので、事情を話し後の立会いをサンドラさんに任せ、予定よりずいぶん遅れて夜行バスでリオを後にした。

 警察は明日か明後日に家に来ると言っていたが、なにせここはブラジルなので適当に言いくるめているだけで実際には来ないだろうと高をくくっていた。

 

 サンドラさんに連絡してみると、なんと翌日ちゃんと警察が来たという。

ブラジルにしては拍手したいほど素晴らしい対応だ。

だが、来たはいいが犯行ののち私が引き出し等家中をまさぐったので現場の保持もされておらず指紋等は採取できないと判断されたため、サンドラさんの立会いのもといくつか質問をし、ただ家をうろちょろしただけで帰っていったという。

やはりブラジル、というような心もとない対応だ。

 

結局証拠は何も無く、予想した通り解決することはなかった。

 

だがさすが我らが海千山千のサンドラさん、隣人には警察が来たときにしっかり指紋の採取もしていきサンドラさんやそれぞれの隣人たちのドアの指紋も念のため採って行ったので近日中に犯人がわかるだろう、としれっとウソをついておいたという。

彼女はかなり動揺しておりしばらくビクビクした様子で過ごしていたというので、サンドラさんのナイスアシストで一矢報うことはできたようだ。

後に私の部屋に日本から取り寄せた防犯カメラを取り付けたというおまけも盛ってくれ事後対策にも抜かりはなかった。

 

 

と、こういった事情が過去にあり、今回のブラジャー紛失事件も密かに彼女がやったのではないかと疑っているのだ。

他の服だと着ていたらバレるし、ブラひとつくらいなら騒ぎ立てないだろうし服の下に装着する類のものなので盗ってもバレないと踏んでつい手を出したのではないかと推測している。

 

それか罪な私の色香に負けた他の誰かが夜な夜な弄んでいるというのであろうか。

 

どちらにせよこの件もまた迷宮入りとなるであろう。

 

皆さんもブラジルでのブラジャーの盗難にはくれぐれもご用心、である。

 

 

 

 

ブラジル・日本人サンバダンサーのカレーな日常

 

風邪をひいた。

 

リオはサンパウロに比べだいぶ暖かく、ダウンまで着こまなければ過ごせないという日は皆無である。

だが、この時期の、8月のリオは結構寒い日もある。

ブラジルといえども一応冬のくくりなのでブラジル中部以南においては当然だが、今年は例年よりもさらに寒いとちまたでは評判だ。

でもそれにしては日中にお日様が照ったりすると真夏並みに暑くなる時もあるので、体内の温度調節機能が完全におしゃかになり、お休み中である不摂生もたたってまんまと風邪をひいてしまった。

 

普段基本は自炊をしているが、ひとりで面倒になるとカロリーが高いだけで栄養はあまりなさそうなお手軽なものを買って食べて過ごしてしまうこともある。

リオの別宅では調味料や食材、鍋等の炊事機器も最低限はそろえているが、サンパウロの家に比べると充分ではない。

 

f:id:joE:20160815110208j:plain

日系人に嫁いだ友人が50年前以上前にブラジルに嫁いだ日本人の義母から譲り受けたのを光栄にもいただいた由緒あるHITACHI製炊飯器をリオで使わせていただいている。1合なら10分ほどで炊け、異常に周りが熱くなりすぎやけどを負ったりはするがまだ現役で使えている日本の技術の良心を感じる一品だ。日本って素晴らしい。

 

 

一緒に料理を作り合える気の置けない同居人もここリオにはおらず、干してあったブラジャーを盗んだと疑ってしまうようなうかつに気を許してはいけない隣人がいるばかりなので、生きる気力を失ういっぽうだ。

 

 

こんな時はカレーだ。

カレーが食べたい。

 

風邪をひくとカレーが食べたくなるという説はどうやら私には真実のようだ。

ふだん好物にあげるほどには好きではないのだが、いつも体調がいまいちな時には無性にカレーが食べたくてたまらなくなる。

 

だが、日本から持ってきたり日本の友人からいただいたルーはことごとく消費してしまっていた。

リオの日本の食材屋さんはサンパウロのように充実しておらず、一時間かけて行ってみるもブラジル製のカレーのルーが20レアル(700円ほど)で売っていた。

サンパウロでも日本製のカレールーはそのくらいするので、ブラジル生まれでもなく、お金持ちでもなく、アイダホ生まれのナビスコ育ちでもない日本生まれの日本育ちである私には異常に高く感じ馬鹿馬鹿しくてとても買う気になれなかった。

f:id:joE:20160823024207j:plain

 

そんな中、近所のスーパーに寄った時にふいにカレーの神からの啓示が下りた。

 

カレー粉からカレーを作るのだ我が民よ。

 

そうだ。

ルーが無くてもカレー粉さえあればカレーは作れるはずだ。

 

恥ずかしながら今までの人生でカレーをいちから作ったことが今まで無かったので気が付くのが遅れた。

こっちでは日本のように食べたいと欲したものが気軽に買えなかったり便利な品があまり無なかったりあってもとても高いので、明太子を魚卵から作ったり、納豆を大豆から作ってみたことはある。

 

だがカレーにはまだ手を付けていなかった。

 

よし、いっちょ作ってみるか。

 

とりあえずカレー粉と玉ねぎをスーパーで買い、あとは適当に家にあまっている食材で作りたまえ迷える子羊よ、と経済的観念を司どる神に言われたような気がしたので、それに従った。

 

家に戻りネットでいろいろなルーなしカレーレシピを巡礼してみる。

レシピにぴったり合った食材は冷蔵庫に無かったので、自分でいろいろなレシピをまぜてアレンジしたらなかなか簡単に美味しくできた。

 

さてここで、ヴァ―モス!ブラジル・リオ・デ・ジャネイロ・クッキング!である。

ブラジルや海外で手に入りやすい食材で作れると思うので、日本の国民食であるカレーが日本以外で食べたくなった時にぜひ参考にして欲しい。

 

材料

〇ベースのベース

玉ねぎ 2個

バター 20グラム

りんご 小4個

にんじん 小1本

水700ミリリットル

 

△ベース

カレー粉 45グラムくらいの一袋

コンソメ2個ー3個

トマト2個

しょうが 親指くらい すりおろしたもの

にんにく 2かけ すりおろしたもの

ウスターソース 大さじ3

ケチャップ 大さじ2

醤油 大さじ1

はちみつ 大さじ2

 

コーンスターチ 大さじ3

水少々(コーンスターチ溶き用)

 

▢具

ひき肉 200グラム

ズッキーニ 中1本

さやえんどう 8本

マッシュルーム水煮 100グラム 

ピーマン 1個

バター少々(炒め用)

 

◎余力

そこらへんにあるカレーに入れるとおいしくなりそうなものをためらないなく少量ずつぶち込む

インスタントコーヒー、しょうがの粉、タバスコ、ニンニクエキス等

あれば何かの乾燥した葉っぱやら香辛料を目についた折から片っ端から入れてみよう。

 

 

作り方

〇ベースのベース

1.玉ねぎをみじん切りにし、レンジで4分ほど温めた後、鍋にバターを入れあめ色になるまで炒める。

2.すりおろしたリンゴとにんじんを水とともに、あめ色になった1に投入

 

△ベース

3.トマトはキューブ状に切り、しょうがとにんにくはすりおろしておく。2がぐつぐつして5分ほどしたら、△ベースのコーンスターチ以外のすべての材料を入れる。

4.煮込まってきたら、水溶きしたコーンスターチでとろみをつける。

 

▢具

5.▢具は適当な大きさに切りバターをしいたフライパンに肉から野菜の順に入れ軽く焦げ目が付くくらいに炒める。

6.4のベースを作っておいた鍋にすべて入れ、2,3分煮込む。

 

◎余力

7.◎余力でてきとうな調味料を少量ずつ入れてみる。

 

8.戦後4種目の神器である昭和炊飯器で炊いたごはんにお皿に盛り付けてできあがり

f:id:joE:20160815120702j:plain

完成♡

 

ここに記してある材料はすべてブラジルのスーパーで簡単に手に入るものでできている。

具は家にあるものを適当に入れたので、どんな肉にも野菜にも代えてもらって構わない。

林檎などを擦りおろした質感が出るはずだし、ダマになったら面倒なのであえて小麦粉を使わなかったが、コーンスターチではなく小麦粉から作ってもらってももちろん良い。

普段カレーのルーから作る時には他にもウコンやらクミンやらフェンネルやらの香辛料やココアやチョコなどを目分量で適当に入れたりするのだが、(あと、自分の汗とか涙とか頭や体のへんなカリカリとか♡)リオの家にはそれらが常備されていなかったにもかかわらず、かなり美味しくできた。

ベースのたまねぎなどの野菜の旨味が凝縮している。

幼い頃は理解できなかった辛いものに甘いものを入れるという行為も、秀樹の推奨していたように林檎とはちみつとろーり溶けて、ウー!バーモント!!と叫びたくなるほどの深みが出た。

1日置くと味が落ち着いてまたこれが美味しくなるはずなので、これから温めなおして食べようと思う。

もう夜中だが、休み中でそう運動もしていないリオ・デ・ジャネイロにて着実に太っている手ごたえがあるが、病床にいる身なのを言い訳にこれはノーカウントとしたい。

 

ブラジル・日本人サンバダンサーのカレーで美味しい日常、ここにあり。

 

 

 

日本人サンバダンサーはリオ五輪代表メンバー?

リオ・デ・ジャネイロ五輪真っ只中、サンバダンサーの友達の住むリオのセウ・アズー(青い空)というファベイラ(貧民街)の、そのさらに友達の誕生日パーティーになぜか私も招待された。

その後にそのファベイラでのパゴージのライブ(サンバの生バンドのフェスタ)もあるということで、そこにも行こうと言う。

彼女は全然別のチーム所属の子で出会って1年ほどではあるが、面倒見が良く頼れる感じでいろんなイベントに誘ってくれるのが有り難いので、せっかくなのでちょっくら顔を出してみることにした。

その日の予定はある練習の会でたまたま彼女と一緒だったので、その後そのまま彼女と落ち合って電車に乗る。

前日に、誕生日パーティーだったら何か綺麗な恰好を用意していったほうがいいかな?と日本人らしい気遣いで彼女に尋ねると、明日はスニーカーにレギンスにTシャツなどのスポーティーな装いで来いと指定された。

練習もあるし、気張らずにそのままの恰好でいいよということなのかな?と理解し、着替えなどは特に持たずに家を出た。

 

誕生日会場は、ファベイラの入り口の公園を利用して開催されていた。

招待されていたが行けなかった5月にあった彼女の誕生日パーティーもこの公園で行われたという。

f:id:joE:20160812114041j:plain

 

暗く写りが悪いのでわかりにくいが、鉄棒なども設置されていて普段はれっきとした皆の憩いの場の公園のようだが、

今日は誕生日パーティーのためにちゃんと凝った装飾がなされたりしている。なにか近所のイベントがあるといつもここでやるということだった。

 

f:id:joE:20160812113253j:plain

彼女のお母さんや友達、誕生日の主役の家族やいろいろな人に紹介される。

みんなとても歓迎してくれ、ファベイラに珍しい日本人に皆興味深々で、写真を一緒に取ったりして盛り上がった。

 

今日はさらに他の友達の誕生日もバッティングしているので、そこにも顔を出そうという。

 

それはファベイラの狭い道を潜り抜けたさらに奥のほうで行われていた。

f:id:joE:20160812114445j:plainf:id:joE:20160812114637j:plain

 

狭い。

 

家と家との通路を利用した隙間で開催されているので細長い8畳ほどのスペースなのだが、肉を焼くコンロやDJブースもちゃんと用意されていて、みんなもみくちゃのなか滅茶苦茶に盛り上がっている。

f:id:joE:20160812115122j:plain

 

みんなビールを飲め飲め踊れ歌えと次々に話かけてくる。

調子に乗って一緒にファベイラ仕込みのファンキ芸を披露していると、歓声が上がりさらに皆盛り上がる。

 

f:id:joE:20160812120641j:plain

やっぱりここでも外国人に興味深々な子供たちに写真を一緒に撮ってくれとせがんでこられた。かわいいったらありゃしないので、もちろん応じる。

 

それにしても老若男女問わずここに来てからやけに写真を求められると思っていた。

私を連れてきた友達の話を注意深く聞いてみると、私は、

 

オリンピックの日本代表として来たバレーボール選手である、

 

と、説明されていた。

 

ちょ、ちょっと待って欲しい。

私はしがないブラジル在住日本人サンバダンサーだ。

日本のオリンピック代表選手でも何でもない。

それに本物の日本人選手ならポルトガル語を知りはしまい。

そして恐らくサンバもファンキも踊ったことは無い。

だいたい試合を控えた日本の代表選手がファベイラで飲んだくれている訳がないじゃないか。

 

『ブラジルしかチェックしてなかったけど、日本のバレーの試合、TVで見るね!』

『頑張って!』

『明日は試合は無いの?!』

 

と応援される。

 

知らんがな。

 

戸惑う私を尻目に

しー、と、人差し指を鼻先に立てながら、

あなたはここでは日本代表のセレブよ!ほら、みんな写真を求めてくる!!

と、友は微笑んでウインクしてくる。

 鼻高々で満足している、というふうに非常にごきげんである。

 

前日にスポーティーな恰好で来いと言われていた記憶とそれが不意につながった。

 

 

友よ。

今どきちょっと調べれば一発でばれるような、

何故そんなしょーもないウソをついて見栄を張るのだ、

おゝ友よ。。。

 

前日のスポーティー服装指定からして、少なくとも前の日から私をオリンピック代表日本人選手として紹介するつもりだったのだろう。

ブラジル人の多くは、先のことをあまり考えないくせしてこういったところはやけに機転が利いて用意周到だったりする。

図らずも、膝が痛いのでしていたサポーターが彼女のホラを増長するようにバレーボール選手ぽさを醸し出してしまっている。

私がブラジル人が想像する日本人よりもかなり背が高いことも彼女のホラを信憑性のあるものとする助けになっているのだろう。

 

仕方がないので彼女の顔を立てるため、

『そうよ、私は日本代表のバレーボール選手なの!だからほら、日本人にしたらとっても背が高いでしょ?』

『うん、応援してね!』

『明日は試合は無いからここに来られたの。あさっては試合あるから見てね!!』

 

などとデタラメな嘘をつかなければならず、非常に心が痛んだ。

 

 

心が痛んだので家に帰って日本の試合の日をチェックすると、まんまと翌日の午前中に日本代表の試合が組み込まれていた。

そんな選手が前日の夜中までファベイラでサンバやファンキを踊り狂い飲んだくれる訳など絶対にない。

 

でも、彼女の顔を立てなければならず、子供たちの純粋な瞳を裏切りたくはないので一度ついたウソは貫き通さねばならない。

どうかもし、私と撮った写真を見せられた方がいたら、彼女は日本代表の選手だけど、この帰り道にすべって転んで怪我をしてしまい、残念ながら試合に出られなかったのだとか告げて欲しい。

 

ほんと、すみません。

 

次にまた彼女の住むファベイラに訪れたときは、いったい何と言ったら良いのだろう。

 

多分、これはきっと彼らの遊びみたいなもので、わかってのっているか、

もし信じた人がいたとしてもみんなそんなことはすぐ忘れてしまうはずで、多分、大丈夫なのだとは思うのだが。

 

 

 多分。

 

ああ。

 

 

f:id:joE:20160812120317j:plain

ブラジルに8年住む私が教えるリオ・デ・ジャネイロを歩くのに心得ておきたい11のこと

リオ・デ・ジャネイロオリンピック開幕まであと一週間を切った。

日本ではあまり盛り上がっていないとか、いろいろな不備や治安の悪化が取りだたされているようですね。

私は現在休みを利用してリオに滞在しており、治安の悪さを肌で感じるところもあるので、リオ五輪のためブラジルに滞在する方々に向け日本人がここで気を付けたほうがよかろうと思う点について自分の経験も踏まえて言及していきたい次第だ。

こんな感じでツッコミありきであえて、というふうに書こうかと思ったりもしたのだが、

www.youtube.com

読んだ方が本当に混乱してしまうと困るので、たまにはちゃんと皆さんのお役に立つような記事を書いてみようかと思う。

 私のような者に偉そうなことを言われたくないだろうが、危ない目に遭うのを恐れかなり気をつけて生きているのでまだ強盗などの被害には幸い遭ったことは無い。

ごく個人的な視点からではあるがどうか信用して聞いてほしい。

 

1.貴金属は身に着けない

時計・ネックレス・ブレスレット・指輪・耳輪は、街をぶらぶら歩くだけの際は特に、輪という輪はホテルの貴重品ボックスに入れ鍵をしめて出かけよう。

ブラジル都市伝説的に、

ブラジルでは強盗に指輪をしていると指ごと、ブレスレットをしていると手首ごと、そしてネックレスをしていると首ごと切り落される、

という話がまことしやかにささやかれており、来伯(伯剌西爾ー伯=ブラジルの漢字表記の頭文字)前の日本人を震え上がらせている。

そんなに頻繁に起こることではないが、全くそういうことが無いとも言い切れず、

首こそ切られないにしても、驚きの海外ニュース映像!などでブラジルのTV局のインタビュー中に白昼堂々とネックレスをもぎり取らた地元のおばさんの映像を見たことがある方も少なくないだろう。

youtu.be

私も最近リオの家の大家サンドラさんと出がけにばったり会ったときに、そのネックレスは外して出かけなさい、とアドバイスされた。

でも、こんなの1000円もしない安物だよ?と反論したのだが、

最近のブラジル経済の悪化によって今まで泥棒で無い人も生きるため泥棒になってしまっているので目利きのプロばかりでは無くなっているしこの前も近所でそういう事件があったばかりなのでやめておいたほうが良い、というのであった。

以前より目立つアクセサリーを付けたいときは目的地付近の安全な場所でつけるようにはしていたが、最近はさらに気を付けた方が良いようだ。

危険な目に遭ったり怪我をする可能性を低くするために高級レストランなどに行くとき以外は貴金属類は身に着けない方が無難であろう。

ちょっとした隙をついてその場の思いつきで犯行をする輩も多い。

犯罪者たちは隙のある人間を探しているので、つけいる隙を作らないことが肝要であるように思う。

 

2.服装に気を付ける

服装も日本人丸出しのファッションは避けるべきだ。私は日本人なので日本人観光客は一発でわかるが、ブラジル人から見ても、あ、観光客だな、というのはその雰囲気で一目見ればすぐわかるはずだ。

特に日本人女子は日焼けを気にしたり露出を嫌ったりしてブラジル人からすると独特な恰好をされる方が多いのでものすごく浮く。

Tシャツひとつにしても日本人好みのものはカットがつつましやかなので、周りをよく観察してできれば現地っぽい服装をひと揃えしたほうが良いだろう。

ただしブラジルだからと言って開放的になりすぎ、露出が激しすぎるのも逆に目立ってしまう場合もある。

街中で大胆なミニのワンピースや体にフィットしたミニスカートにチューブトップにヒールなどのイケイケな恰好では、日焼けしていない東洋人はやけに目をひいてしまう。

具体的な事を言うと、もしオシャレをしてちょっと露出をしたい時には、例えばトップだけがばっと背中の開いた服を着て長い丈のパンツを履く、または上の露出は控えめにして下だけピタっとしたミニスカートを履く程度にとどめておきたい。

上も下も全開に派手に露出してしまうと一見道に立っている売春婦のように見えてしまいかねないので、何事もバランスが大事だと思う。

以前やけに頻繁に道で強盗に遭う知り合いがいたが、近所のスーパーに行くのにも常にそういった服装で歩いていた。

犯罪に遭わないまでもよく変なガラの悪い輩に声をかけられていた。

それに強盗にしたって誰かを襲うときはびびっているのだ。

どうせ襲うのならひらひらと弱そうで走って追いかけたりできなそうなファッションの人を狙って襲うのは当然と言えよう。

 

3.歩きスマホは論外、音楽を聴きながらも✖ 

これは案外男子のほうがうかつにやってしまいがちなことなのであるが、スマホで道を調べる時なども人気の多い安全なところを選んでその場所だけでさっと調べて携帯はすぐにカバン等にしまおう。

さらに言えば安全なところでだけ見たつもりが、そこで目を付けられてしばし追跡され人気のない場所でやられる場合も多いので、携帯等を出した場所からしばらくは誰かにつけられていないかを後ろを振り返って何度も確認したほうが良い。

誰もついてきていなくても“私は気を付けていますよ”というのをアピールするために時々周囲を見るのはリスクを減らす効果がある。

イヤホンをつけて音楽を聴きながら歩くのもやめた方が良い。何かあったときに外の音が聞こえず不注意になるし、イヤホンを付けているということは必ずスマホか音楽を聴くための機器を持っていますよ、と宣伝して歩いていることと同義に他ならないからだ。

私の日本人の友人もコパカバーナでそれをやって、まんまとi・podをカツアゲされていた。

私見だが、女子供でも老人でもない日本人男性は襲っても罪悪感が薄く狙われやすいのではないかと思う。男性といっても多くの場合体格の差は歴然だし、旅行者の日本人は金をたくさん持ってるんだから健康そうな男子からちょっとくらい盗んでも良いのだと、自己正当化したい泥棒心をくすぐるような気がする。

 

4.お金は小分けに

よく言われることだが、強盗対策としての見せ金用にお金を小分けにしておいたほうが良い。

あんまり少ないと疑われたり逆上される恐れもあるので50レアル以上はあったほうが良いだろう。

こちらで強盗強盗と言うが、その多くは“カツアゲ”に近いものだと思う。

金目のものを持っていて強くなさそうなやつに寄ってきて金出せ、と言ってくるわけだ。

でも、もしあなたが腕っぷしに自信があっても絶対に逆らわないで欲しい。

知り合いの185センチを超えるガタイの良いブラジル人青年でも、友人たちと夜道を歩いていたら強盗に遭い、抵抗すると近くの仲間を呼ばれ囲まれてぼこぼこにされ、買ったばかりのナイキのスニーカーを狩られた、と痣の残る痛々しい顔で被害を訴えていた。

このようにこちらにどんなに人数がいても、応援を呼ばれたりすることもあるし、あなたが本当は武術の達人であっても、銃を出されたらおしまいだ。

何度も言うようだが強盗する側だってビビっている場合がほとんどなのだ。

下手に刺激をして混乱した強盗にズドンと引き金を引かれないように、ポケットなどにしのばせた見せ金をここにある、と指さして素直にお金を渡すほうが賢いだろう。

あ、しかし、見せ金と言ってもポケットなどから見えないように、お札の形がわかるようなところには入れないように。

これも以前、薄い生地のパンツの後ろポケットにお札を入れておいた知人が目の前で黒人の男の子にタックルされてお金を奪われたことがある。

幸い軽い擦り傷とポケットを破られただけで済んだが、結果、不用意に危険を呼び寄せることになってしまった。

たいした被害が無くてもその後の旅行をびくびくとトラウマを抱えながらテンション低く過ごす羽目になってしまったらつまらない。

 

5.流しのタクシーを拾うときは会社名と電話番号が車に明記されているものを選ぶ

最近はUBERなど発達してきてはいるが、

ブラジルでUBERに乗ったら【リオデジャネイロ&サンパウロ編】 - Meg In The World

どうしても流しのタクシーを拾わなければならない場合もあるかもしれない。

そういった場合は必ず車体に会社名と電話番号があるものを探して乗って欲しい。

それでも観光客だからとボラれる可能性もある。

だが無記名のタクシーよりもだいぶ信用できるはずだ。

そしてちゃんとタクシーの運転手さんの顔や服装や雰囲気をチェックして欲しい。

私は顔つきや風貌が良くないと判断したら一度止めてもやりすごし決して乗らないようにしている。

とても疲れていた時にそれらの確認をせずに流しのタクシーを拾ってしまい(無記名・チンピラ風)、乗った後にその運転手の胸のボタンが4つほど開いており、極端にガラが悪いことに気が付いた。

そしてメーターを見ると2秒に一回の間隔でタクシーのメーターがカンカンと上がっていく。

これは確信犯だ、絶対にやばい、と察したので指摘はあえてせず、速やかに自分の知っている場所でタクシーが拾いやすいところに行き先を変更し、お金を支払って降りた。

目的地の半分くらいのところだったが通常の倍以上の金額をメーターは指していた。

このように悪質なタクシーはメーター自体に細工をしている場合もあるので要注意である。

はじめてブラジルに旅行で来たときも秒速メータータクシーに運悪く乗ってしまったことがあり、正規の値段より少し多く払って逃げるようにホテルに飛び込んだのだが足りないと追いかけてきて、ものすごく汚い言葉で脅され罵倒され、ずっとフロントで揉めた経験がある。

こういう時ホテルの人は仲介など絶対にしてくれない。また、路上で襲われた時も周りの人は誰も助けてくれはしないので、肝に命じておいて欲しい。

ちょいちょい遠回りをされたりボラれたりもするだろうが、悪質すぎるケースを除けばよく考えるとたかが何百円かの話だ。

ズルに気づいて交渉し言い争いになっても確信犯の場合はラチが開かず、数百円以上分の徒労感と不爽快感が残ることになることだと経験上わかっているので、

悔しいが最近は、

『このくそ✖✖✖めが、こんなはした金くれてやるわ♡』

とディスったことを察せられないように日本語で毒づき、請求された値段を払うようにしている。

 

6.危ない場所には近づかない、立ち入らない。

言うまでもないがファベイラ(貧民街)には近づかないことだ。

私もこのブログでファベイラのバイリ・ファンキに行った時の話

joe.hatenadiary.com

について書いたりしているが、絶対に行かないでください。(この絶対は絶対で!)

ここには詳しくは書いてはいないが、行くときはいつも大勢の慣れたブラジル人と、信用できる友達やそのファベイラに住む友達何人かの同行の下、いつも守られつつ一緒にいてもらっていた。

日系人すら近づかず、東洋人の顔をしているものなど一人もいないので そんなところ日本人だけで行った日には滅茶苦茶に目立ってしまう。

バイリは論外だが昼間だってもちろん危険で、私はファベイラの近くに住んではいるがここまでなら近づいても大丈夫というラインを把握しているし、ひとりでは絶対に立ち入ることはしない。

ある日リオの家の近くのファベイラに住む友達と会う約束をしたときに、遅れてこないでね!と念を押すと、時間どおりに行けるかわからない、、、と言う。

なんで?前から約束してたじゃない?!と語尾を荒げると、

最近ファベイラの家のそばで結構な銃撃戦が頻繁に起こってて出がけに勃発するかもしれないから、それが収まるまでは家を出られないんだ、ごめん、、、と謝られた。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。

 

こっちこそごめんよ。

 

彼が危険なファベイラで暮らしているのは知っていて、一緒に家の近くまで訪ねさせてもらったこともある。

だがそこまでは思い至らず時間にルーズなせいで家でダラダラしていて遅れるのだと決めつけた自分が恥ずかしかった。(そういうことも多いのだとは思うけどね。)

ここでは日本人の想像力の限界を超える日常があることも忘れないようにしたい。

 最近は若者の間でファベイラでのライブやセレブパーティーなどするのも流行っているが、もし行く場合は信用のできる地元の人と同行の上で安全を嫌というほど確認し、危険な目に遭う可能性もあるという覚悟を持つことだ。

それでも自分だけでなく他人に迷惑をかける結果となる場合もあるので、細心の注意を心がけて欲しい。

ファベイラでなくとも、人の少ない小道、トンネルの歩道、薄暗いところやすさんだ雰囲気の場所に近づいているような気がしたら速やかに引き返そう。

 

 

7・叫んで走って逃げる

強盗に遭ってからではもう遅いが、強盗など怪しい人に狙われているような気がしたら、叫びながら人気(ひとけ)のある方向に走って逃げる、というのは、実は私が実践していることである。

叫ぶ言語は日本語でもなんでも構わない。

ある時バス停に降り立ち、治安の良い地域ではなかったが人気もそう無くもなかったし目的地まで50メートルほどだったのでタクシーを拾うのもためらわれ歩いているとその反対方向から黒人の男の人がやってくるのが見えた。

多分互いの距離は10mほどだったか。

ちょっと怖かったので歩きながら私が道の右側に寄ると右に、左側に寄ると左にその人物も私の動きに合わせて通り道をふさぐように両手を広げ方向を微妙に変えてきた。

あ、これはまずい。

もう一度右に寄るとまた動きを合わせてきたのでこりゃだめだと来た方角に素早く方向転換し、

殺される~!と叫びながら走って逃げた。

一瞬追いかけてくる気配はしたが、わりとすぐ店の並ぶところに出れたのでそこで事情を話し、しばらくそばに居させて欲しいと頼んだ。

その強盗未遂犯と思われる人物は私のあまりもの剣幕に驚いたのかそれ以上追いかけては来ず、再び闇の中へ消えて行った。

本当に強盗犯だったかはわからないし、もしかしたら危なくなかったかもしれない。

別の日に他の場所で、うろうろしてる怪しい男がいるの!と近くの店に飛び込んだら、ありゃ近所で昔から働いてるやつだから大丈夫だよ~、と言われただの勘違い野郎だったときもある。

だが、実際に危ない目に遭ってからでは遅いのだ。

危険に遭う前に察知して避ける瞬発力も大事ではないかと思う。

 

8.パスポートはコピーを持ち歩く

ここからは直接生き死にには関係は無いとは思われるが、うっかり忘れがち・ありがちなことなので書いておきたい。

旅行慣れしている人からしたらば当然のことだが、年齢や本人確認の必要なところに行く場合、身分証明書を持ち歩くことは必須だ。

会社の入った複合ビルを訪れる際や夜遊びにクラブなどに行く際にも入り口で必ず身分証明書の提示を求められる。

パスポートをむやみに持ち歩くのは危険なので、コピーしたものを一部携帯するカバンに入れておこう。

 

9.道は3回聞く

迷ってしまったり地下鉄やバスの行き先がわからなくなってしまうこともあるだろう。

こちらの交通機関は日本に比べて親切とは言いがたく、いちいち停留所前で次は新善町~新善町~、などとのアナウンスがなかったり、あっても聞き取りにくかったり、電光掲示板に表示されなかったり、表示されていても間違っていることすら起こり得る。

バスであれば運転手か集金係として同乗している職員に、近くにいる人に聞く場合は3人ほど、距離を置いて別の人にも聞いてみた方が良い。(そこまでしても情報が間違っていることもある。)

ブラジル人は概ね親切で、切り捨てるように知らないと言ってしまったらなんか悪いなあ~、と瞬時に思ってしまうのか、よく嘘を教えてくるからだ。

その人のいい笑顔を信じて何度逆方向行きのバスに揺られただろうか。

皆だます気などは無くて、目の前で困っている人の問題を解決して喜んでもらいたいという心意気から、うろ覚えで適当なその場しのぎのことを言ってしまうようだ。

その気持ちだけは真にありがたいが、正直迷惑なのでわからないならわからないとはっきり告げて欲しいと切に思う。

 

10.社交辞令を真に受けない

ちょっと上級者編でもあるかもしれないが、地元のブラジル人とひょんなことから仲良くなって、また会おうという話で盛り上がることもあるかもしれない。

それは旅のとっても素敵な思い出となるだろうが、鵜呑みにしない方が良い。

いつもそこに居る人、働いている人であればまた会える確率は高いが、約束のその多くは残念ながら反故にされるだろう。(例外もあると思うのですが、あくまでも経験則から述べています。)

やはり彼らに悪気は無くて、ただ日本人と比べると何日も先の事を考えるセンスを先天的に持っていないように思う。

私の持っているポルトガル語の教材の中で一押しな本にも、

『社交辞令での招待』

という項目があり、

但し書きには

『日にちを言わない招待は招待ではありません』

と、記してある。

これを見たときは割れるほど膝を打ったせいでその膝の皿は割れ水が溜まり、現在も両膝から、しまいには体中から南京玉すだれのように水が噴き出してきて止まらないほどだ。

気の合いそうなブラジル人に出会えたことが嬉しくていつまでもにこにこと予定を空けて連絡を待っていたあの頃の私を想うと可哀想で、目からも水のようなものが噴き出してくるようだ。

だが逆に自分から何かを頼んできては約束を破る日本人もいる。

世界の裏側まで大冒険をしているのだから特別に何でも許されると勘違いして自分のことしか考えずやりたい放題ではた迷惑な日本人旅行者にも出会うこともある。

短い旅程の中では約束を守りきれないこともあるだろうが、根本的に人としてやってはいけないことはブラジルであっても変わらないので、お互いちゃんと礼節を持って接したいものである。

 

 11.物乞いにあったら

こちらでは日本にいないタイプも含めいろいろな物乞いがいる。

日本でもたまに見るタイプの服装がそれっぽく匂いが強烈なおじさん、子供、おばあちゃん、赤ちゃんを抱いたお母さん、ファミリーなど。

それも一部の地域では裏の業者が仕切っていて、朝にバンに乗せてそれぞれを配属の地点に置き、また夕方になると回収しに来るなどという噂もある。

母子のカップリングもその日はじめて会ったよその子を貸し与えて母子のように見せ配置させることもあるという。

それでも莫大な数がいるので全部の物乞いが組織立ったところに身を置いているわけではない(だろう)。

日本では特別な場所に行かない限り日常的にそうは頻繁に路上生活者に出会うことはなく、ちょっとした衝撃だ。

身なりの良くない裸足の子供に何かせがまれれば、言葉が分からなくてもだいたいどういう状況かは理解できるだろうし、何かあげたいな、という気持ちになることだろう。

カトリックの影響かここではよく物乞いと普通に会話する人やお金や食べ物などを道すがらに与えている人を見かける。

何かをあげるのは毎回だとキリがないので、自分の気が向いた時にあげたいと思った人に1~2レアル程度あげればいいのではないかと思う。

ただし、周りの皆が言うには、物乞いにお金をあげてもほとんどは酒やドラッグに使われてしまうという。

子供の物乞いの時も同様で、ろくでもない親に金を集めてこいと命じられていてアガりが少ないと怒られて殴られたりするケースもあるようで、やはりジャンキーである親の麻薬や酒代に消えるのだという。

なので私はできるだけ食べ物などをあげるようにしている。

レストランでの残りや、時間があれば近くのスーパーでクッキーなどを買って子供に渡したりする。

ある日ハンバーガー屋に並んでいたときには、お腹がとても空いていてハンバーガーを買いたいのでお金をくれ、と言われた。

その時はお金を出すのはどうかと思ったので、自分の買ったばかりのハンバーガーを半分ちぎって差し出すと、

こんなの要らない、金をくれ。

と吐き捨てるように言われてイラッとしたこともある。

 

以前よく行っていたスーパーの入り口に8歳くらいのいつも殴られたように顔を腫らした巻き毛の男の子が物乞いをしていた。

その生々しい傷を見て何があったのか想像すると胸が締め付けられるようで居ても立っても居られない気持ちになり、彼の手にお金が残らないにしてもと何度か現金をあげたりしていた。

それが彼にとってよかったのかどうかについてはよくわからない。

彼はしばらくして姿を現さなくなった。

通りすがりの私たちに問題を根本的に変える力は無い。

こういったことはただもやもやするだけで苦しいことだが、その時ごとに痛みを感じて世の中が良くなるために何をしたら良いのかを考えることくらいしかできないのかもしれない。

 

 

 まだまだ心得ておきたい点もあるかと思うが、私が今更言うまでもなくとっくに他の記事などに書いてあることも多いので、ここではこれくらいにしておこうと思う。

 

危ない目に遭うかどうかの相当な部分は運に左右され、どんなに気をつけていても遭ってしまうことだってある。

気をつけていたのに遭ってしまった方はあまり自分を責めず落ち込まず、

気をつけずに遭ってしまった方は激しく後悔しこんなことが二度と起こらないように今すぐ美容院に行きブラジルの“ブ”という頭文字だけ残して髪を刈り込みその他の部分を坊主に丸めてくれば、その日からきっと二重の意味で犯罪に遭う確率は少なくなるはずなので、推奨したい。

 

末尾の他の方々の記事はとても読みやすくまとまっていて、この記事もインスパイアされていたり重複するような部分もあるが、ここで書ききれなかったことも書いてあり、皆さんのお役に必ず立つ事と思うので最後に載せておきます。

 

皆さんのご旅行が安全で素敵なものになりますように。

 ボア・ビアージェン!

 

ブラジルの治安 [ブラジル] All About

allabout.co.jp

 

megintheworld.hatenablog.com

新しい家で暮らす・サンパウロ

新しい家での暮らしが始まった。

駅から遠く、地下鉄を使うとかえって時間がかかるため、絶賛彼女募集中のレズの友人(本当にそんなんばっかだな)が景品で当てて放置してあった自転車(山本さん)を譲り受け、トレーニングも兼ね通勤時には自転車に乗り風になることにした。

大家のレオと恋人のファビオは普段は中距離バスで1時間以上かかる街におり、メキシコ人のセバスチャンは近くで働いているが学校なども通っていて忙しいので、一日誰とも顔を合わさないような日もある。

人恋しい気持ちになることもあるが、自由に広い居間ででたらめに歌ったり踊ったりもでき、誰にも気兼ねなく暮らせるのは楽ちんだ。

誰か家にいても一人でいたいときは部屋にこもっていれば皆放っておいてくれるので完全に自分の時間も空間も守られる。

顔を合わせ余裕があれば一緒に料理を作ったり、お互いの話をしたりできるのも楽しい。

 

住み始めて初めて迎えた日曜日は、私がブラジルで最も忌むべき日のひとつである『恋人たちの日』であった。

家族も恋人もいない者にとってつらい日ナンバー1はもちろんクリスマス、2位は年越し、3位誕生日、4位がこの恋人たちの日だ。

欧米のバレンタインデーのような日で、恋人たちがプレゼントをし合ったりいちゃいちゃする日なのであるが、誰が考えたのか知らないが余計なことをするのは金輪際やめていただきたい旨強めに申し上げたい。

 ひとりでずっとブラジルに住んでいるので、そういったイベントの時には前々からちゃんと警戒し心の準備をして、

え?今日てなんかあるんすか?✖、、バツ?、、マス・・・?何ですかそれ?はあ、自分日本人なんで、ええ、聞いたことないですね。

と、無理やりその日の存在自体を無かったことにしてやり過ごす術くらい心得ているのだが、

その他のイベントが年末年始に集中しているのにこの恋人の日は油断していた6月にいきなりボディブローをかましてくるので結構足にくるのだ。

今年ももちろん予定は無く、傷ついた体を引きずりながらよろよろしていたところ、レオの働くレストランにみんなで行かないか?というお誘いを受けた。

せっかくの恋人の日なのにお邪魔するのは悪いと思ったのだが、ファビオとレオの友達たちやセバスチャンとその彼氏(仮)も行くというので一緒に連れて行ってもらった。

そこには女子は私だけで『恋人たちの日』というより私にとっては『ゲイたちの日』となったが、料理もおいしくそれなりに楽しく、彼らの機転のおかげで九死に一生を得たりもしていた(おおげさ)。

 

このようにみんな大人で親切で優しいのでとても嬉しく思っていたある日、事件は起きた。

 

私が買って冷蔵庫に入れておいたビールが無いのだ。

 

バス・トイレ・キッチンは共同で、冷蔵庫もひとつなので共同で使っている。

どこを探しても無い。無いものは無い。

仕事で疲れた後に家でゆっくり飲もうと思って買っておいた言わば命のビールだ。

その日は家の中でもダウンを着込まないといられないほどに寒く、外は雨。

歩いて30秒のところに24時間のパン屋さんがあってビールも売っているし近くにスーパーもあるが、安いスーパーで買うより倍以上の値段がするので経済観念が発達していてお嫁さんにしたいタイプである私は、わざわざ歩いて、少し遠いスーパーに、女子の細腕で、重い思いをして、買ってきたなけなしのビール、なのであった。

夕食を作り終え、さて一緒に飲もうとうきうき冷蔵庫を開けると、

それが、無い。

 

私は吼えた。

 

たまたまそばにいたセバスチャンはそれまでごきげんにしていた私が冷蔵庫を漁り、その扉を閉めた時には鬼のような形相で吼えるのを見て明らかにひいていた。

彼曰く、僕ではないのでレオとファビオが昨日帰ってきたときに飲んだのだろう、と言う。

実は、オムレツでも作ろうと開けたら自分で買った卵が無くなっていたり、次の日天丼にしようと思って作り置きしていた天ぷらが紛失している、ということが既に起きていた。

その時もかなりイラッとしたものだが、今回はタイミングも悪くついカッとなってセバスチャンに思いの丈をぶつけた。

何か他人のものを使ったり食べたりするときはせめて聞いてからにしていただきたいものだ。

こっちも冷蔵庫の食材を無駄なく使うことに日々苦心してある程度の計画を立てている。ちゃんと考えて仕事帰りにスーパーに寄って値段を吟味して用意をしているのだし、重いし、家からいちいち買い直しに行くのはかなり面倒くさいので本当にやめて欲しかった。

でも、ブラジル人と住むということはそういうこともあるだろうとある程度の予想はついていたし、100円程度のビール2,3本のことで目くじら立てるのも自分でも人間小っちゃいよね、と恥じる気持ちはあったので自分の正当性の確認のため日本の友人に連絡を取る。

このあらましを早速LINEで告げると、

 

「それは腹立つ。殺人事件になるな。」

 

と太鼓判を押してくれた。

さすが呑兵衛の友人は話が早い。

話し合いの結果、ビールや買ってきた食べ物に謎のおふだを張って割印をする、という手法で気味悪がらせやつらの手を止めさせるのが最良であるということで落ち着いた。

 結局後日たぶんセバスチャンから聞いたのであろう、ファビオから謝りの言葉と飲んだ本数分のビールの返還があったので今のところまだ割り印はしていない。

 

手癖悪りぃな、とは思うがブラジル人らしくおおらかで、人のものと自分のものの区別が曖昧だったり、ただ先のことをあまり考えていないだけのようだ。

冷蔵庫の彼らのものも、自分のものだと思ってなんでも使っていいからね、と言ってこられたりするとケチな自分が恥ずかしくなる。

また、食器の洗い物が溜まったまま放置してあり、

ここで私が洗ったら負けだ、一応女子だからと言って、私は家政婦じゃないんだから!

と勝手に臨戦態勢に入ってぷりぷりしていると、

後日私が片し忘れた洗い物を当然のように綺麗に片づけておいてくれたりして自分の度量の狭さにまた消え入りたくなったりするのだった。

 

ファビオはまだ若いので経験不足や詰めの甘さを感じさせるところはあるが年より落ち着いていて非常に親切で、

「ポルトガル語でわからないところがあったら何でもちゃんと聞くんだよ?」と表現を変えて丁寧に説明してくれたり新しく若者言葉を教えてくれたりするのでとても有り難い。

私のこともいろいろ気にかけてくれるし、レオのことを支えようといつもしていて、レオを愛しているんだなあということが伝わってきてほんわかする。

レオはファビオの実家のある街でコックさんをしている。

週に1回しか休みが取れないので、彼とはゆっくり話す機会はそんなにはないのだが、住んでいるうちに少しずついろんなことがわかってきた。

 

この写真がレオだ。

f:id:joE:20160717142742p:plain

 

この写真が飾ってあったので、この超絶ハンサムは誰だ?と聞くと、

レオがモデルをやっていた若い頃のものだという。

彼は身長が高く手足も長く顔が小さく骨格が美しいので、それを聞いた時にああ、やっぱそうか、という気はした。

どうやら彼が育ちが良いのも事実で、彼のおじいさんは大地主の大金持ちで、お父さんは金持ち、そして彼の代ですっからかんになっているという状況のようだ。

育ちも良く容姿にも恵まれ一時は有名な俳優と付き合ったりと派手で贅沢な暮らしをしていたが、年も取って仕事も激減し運にも見放されお金も無くなりすさんだ暮らしをしていたころにファビオと出会い、彼の献身的な助けのおかげで学校に通いコックの職を得て働いているということだった。

 

彼はこの住人の中で最年長なのだが、一番子供みたいなところがある。優しくて人はとても良いのだが坊ちゃん特有の浮世離れしたところがあるようだ。

 

私がこの家に住んで2か月近く経つが、実はもう2回家のwifiが止められている。

ブラジルだからこういうこともあるのかと原因を究明すべくいろいろ試したのだが、何のことは無い、奴がお金の支払いを滞納していただけであるということが発覚した。1か月や2か月では止められる訳はないので、2回目に止められた時に前回の明細を確認すると、もう7月なのにやっと2月分と3月分の料金を払っただけでまた放ってあったらしかった。

そりゃ、止められるわ。

できるだけ自分で何とかしようと下手くそなポルトガル語でインターネットの会社に電話してはたらい回しにされイライラしていた私の時間と労力を返して欲しい。

 

それに、私はちょうど月末に引っ越しをしたので毎月月末に家賃を払うことを友人も立会いのもと取り決めてあるのだが、

君の支払い日を過ぎているので払って欲しい、と月半ばに言ってきたりする。

聞けばセバスチャンとは毎月15日と決めたのに、やはり月初めにねえまだ?ちょーだい、と言ってきたりするというのだ。

ボケ老人か。

それで振り込んでくれと渡された振込先の番号が一つ間違っていたりする。

 

そう、こいつは結構なポンコツだ

 

そんな時、2週間に一度来てくれている掃除の人のお金を50レアルほどくれ、と言ってきた。

初めに確認したときにすべて家賃に含まれているという話になっていたはずだ。

その時はそうメールで返信してつっぱねたというのに、

その2週間後もまた50レアル払ってくれ、と言ってくる。

また何言ってんだ、本当にポンコツだな。。。

 

立ち会ってくれた友人に、ねえ、掃除代も全部家賃に含まれてるっていう話だったよね!?と鼻息荒く自信満々に確認してみた。

うん、やっぱり全部込みでこの値段だって私確認したもん。絶対に間違いない。彼女もその時いたしレオと話すときに証人になってもらおうっと。やっぱり第三者を立ち会わせておいてよかったな。。。

 

 

 

ところが、彼女の返事は私の予想とは全く違うものだった。

 

ううん?違うよ。他は全部込みだけど、掃除代だけは別にみんなで分けて50レアルを2週間に一回払うって話だったよ。

 

え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。 

本気で自信満々だったので心の底から驚いた。

何度反芻しても片鱗も姿を現さなかったその記憶が、急によっ!やってる?とのれんをくぐり抜けるように軽快に顔を出してきた。

 

そうだ、あのトイレの前の廊下のとこで、そういえばそう言われたわ。。。ちっ、なんだよ、家賃が予想したより高くついちゃうじゃないかー、って、そういえば、、そのとき、、思ったんだ、、った、、、、。

 

脳よ。

どうせ思い出すのであればもっと早く思い出させてくれないか我が脳よ。

 

ひとつ再確認できたことは、

私の絶対に間違いないは絶対に間違いだ、ということだ。

 

 

 

私とレオのポンコツ合戦は続く。

 

新しい家へ・サンパウロ

ゲイハウスを見に行った1週間後、私の部屋探しは遂に終結した。

 

 

他のところを見に行ったりもしつつ、一度目の訪問から5日ほど後に気になっていたその家を日系人の友人を付き添いにもう一度訪ねさせてもらった。

 

契約上の細かい点においてポルトガル語に多少の不安があったし、ひとりで訪ねての口約束では後で話が違ってしまう可能性もある。

住人たちに好感は持っていたものの、何が起こるかわからないのがここブラジルだ。

彼らが私が住むと決めた途端人格が豹変する可能性だって無いとは言えない。

ネイティブの友人を連れていけば向こうも適当なことを言って騙したりすることはできないだろう。

疑い深いようだがブラジルではこのくらいで丁度よい。

それに長くブラジルにいてもよい環境かどうかや人柄について数回見知っただけでは正確に判別できないこともあるので、そこらへんの判断も彼女に委ね意見を請いたかった。

 

友人の運転するスクーターの後ろから降りて門を開けてもらう。

家主のレオに迎え入れられ家に入ると、また男どもが3人雁首をそろえている。

今回は夜の訪問だったのだがそれにしてもと質問してみると間借りしているメキシコ人のセバスチャンは仕事が早く終わってたまたま家にいただけで、カップル二人は今お休み中、レオは転職したばかりとのことで来週から仕事が始まるその合間だという。

いろいろと質問をしながら軽く談笑し、値段や詳細を確認する。

家はところどころ壊れたまま放置しているような部分もあるし、上手とは言えない素人丸出しの絵が壁に描かれたりしているが、トータルで見たところ私にとってやはり暮らしやすそうだ。

他にも家を見に来た人はいるがあまり気に入らないので君が住みたいと言うなら優先したい。ただし来週の木曜日までに決めて手付け金を振り込みして欲しい、ということだった。

ライバルを出現させ煽ってくるあたり、優しそうな顔をしてレオもなかなかうまい。

30分ほどしたところで木曜日までには決めて連絡をする、と言い置いてその場を後にした。

実は近くでもう一軒女子2人が住んでいる家を訪れる約束をしていたのだ。

初見の家であるが、ついでに友人にもついてきてもらった。

そこでは金髪で若くも年寄りでもないちょっと鼻が上を向いた女性が対応してくれた。

レオの家と比べると駅から半分くらいの距離で、なかなか良い場所にあった。

だが、家賃が同じ値段なのに例の3畳くらいの女中部屋なのだった。

8年間ブラジルでガラクタをため込んでいる私の荷物が全部入りきるとは思えず、今回は私にしてはかなり奮発してより良い環境を求めているというのに窓の無い3畳の部屋に住むという選択肢もありえず、残念だが吟味する余地も無い。

 

2つの家を見に行った後、友人の意見を聞いてみた。総合すると、

まずレオのマンションの前に大きい警察署があったでしょ?あれは安心でいいよね。そんで会話の中でレオはずっと高校までドイツ系の学校に通ってたって言ってたじゃん?ドイツ系の学校ってこっちではすごく学費が高いからお金持ちじゃないと絶対に通えないしそれにピアノ弾いてくれたときすごくうまかったよね?(なぜかレオは調子にに乗ってピアノの腕を披露してくれた)あの家は今はどうかは知らないけど昔はお金持ちで彼は相当良い教育をされて育った人だと思う。人柄も良さそうだし、場所も安全そうで便利だし、私はあそこはいいと思う。

普段面倒見が良くお人よしの友人なのであるが、さすが生き馬の目を抜くブラジルで生まれ育っただけあって観察力に抜け目がない。

私もレオを初めて見た時に品の良い人だという印象を受けた。ブラジルではお金持ちで良い教育を受けている人のほうが誠実でまともに話ができる割合も高いので(でも全部そうだと思ったら大間違いだけどね♡)、差別するわけではないがこういう情報も大切なのだ。

それに言われるまで気が付かなかったが通りを挟んだところに警察署が確かにある。その横にバス停、目の前はタクシー乗り場、左真横には小さいバール(何か飲んだり軽食を食べたりできる)、お菓子屋さん、バンカ(キオスクとも言う、日本の駅にあるまさにキオスクのようにいろいろこまごまとしたもの売っている通りにある店)、ロテリア(宝くじ売り場のようなものだが、同時にいろいろな公共料金の支払いなどもできる)が続き、その通り沿いの角には24時間のパン屋その向かいにこれまた24時間の薬局が、角を下ってすぐにスーパーマーケットがあってさらに銀行、ピザ屋、レストランなどさまざまな店が並んでいる。駅からさえ遠くなければ完璧と言って良いくらいのラインナップだ。

 

次に見に行った家については、

まずは狭いし、大家の彼女はなんか気が強そうだったよね?お風呂があるってあなたが喜んでたときに(ブラジルではシャワーだけで風呂がある家はそう多くは無い)良いでしょ、なんて言ってたけど、水道代がかさむから使うな、とか後で言ってきそうなタイプ。少なくとも私は好きじゃない。それに、女はうるさいよ~?女でそううるさくないのはレズくらいだよ~?

などと言ってくる。大家の彼女はそれなりに感じよく対応しようとしてはいたのだろうが、あまり良い印象は受けなかった。キレられたわけでもなんでもないのだが、ちょっとヒステリックなポテンシャルを秘めているような感じすらした。

 

 

翌日、最後のダメ押しでさらに数軒見に行くことにしていた。

一軒は件の地獄坂だが返事は来ず(ケイティめ。)もう一軒は女子これまた2名で住んでいるところに私が入る形のパジャマパーティーチャンスだったのだが、Whats´appの写真が猛烈にギャルっぽく、何度か急遽時間や日にちを変更したいと連絡してきてしかもその電話の時にずっとガムか何かを噛みながら話してくるのがものすごく感じが悪くついでに頭も悪そうだったので、結局その家を訪ねることはしなかった。

 

引っ越しの期限も目前に迫っているし、友人も勧めてくれたし、やっぱりここに決めよう。

 

本当は私、わかってた。出会ったその日から。

あなただけを、愛しているって。

だけど、そう、自分に自信がなかったの。。。

だから、気持ちを試したりしたの、ごめんなさい。。。(BGMケンカをやめて)

 

確かに女子ばかりの家は住人にもよるのだろうが口うるさそうだった。

男所帯でもレオの家には2週間に1度掃除が入るというし、家が新しく綺麗でもうるさくがみがみ言われそうなところより、大ざっぱでちょっとくらい汚しても怒られないようなところのほうが私ものびのびと暮らしやすいだろう。

 

そういった経緯で、私はレオの家の住人となった。

最後に軽く新しい家の住人達を紹介しよう。

 

f:id:joE:20160712131614j:plain

 手前左 セバスチャン(メキシコ)、中央 ファビオ(レオの恋人)、右 レオ(大家)

 

 

 

 

 

サンパウロの部屋探し完結編

サンパウロで住む部屋を探し始めて早3か月。

もうどうにも後がなくなってきた。

私はマイコンと呼ばれていたその時代から、コンピューター関係にかなり出遅れるタイプの人間であったので、サイトの見方を習得するまでにも結構な時間を要さなけらばならない。

それでもなんとか有料会員となっていたメインのサイト以外のものも見て探してはいたので、恐る恐る他のサイトから部屋を見に行きたい旨のメールを送ってみた。

自分の希望にそぐわない場所や家賃のもの、部屋の写真や詳細が記していないものはこれまでは排除していたのだが、もうそうも言っていられなくなっていた。

半ばヤケ気味にラストスパートをかけ、飲み屋のように毎日部屋探しのはしごをしてはがっかりしていた時に、運命の君(ひと)に出会ったのだ。

その部屋の広告はとてもシンプルで、家賃と大まかな場所以外全く何も記載されていなかったが、ものは試しと連絡を試み、部屋を見せてもらう日取りを決めた。

たぶんその日は大安吉日だったのであろう。

平日の真昼間にその家を訪ねると、大家だという品とスタイルの異様に良い妙齢のおじお兄さんが出迎えてくれた。

 

ちっ。男か。

 

何度も言うが、私の第一希望の家は男子禁断の園、女子オンリー、パジャマパーティーの家である。

たとえ私に寝るときにパジャマを着る習慣はないとしても、この夢だけは譲れない。

しかしそのレオというブラジル人男性は大家だということで案内に来てくれただけで、ここに住んでいないという可能性もある。

わずかな希望にすがりついた瞬間、

奥からのそのそと出てきたのはさらに男子が2名。

ここに部屋を借りて住んでいるメキシコ人のセバスチャン、そして大家さんのレオの友人だという若いブラジル青年のファビオ。

 

あーあー。

 

知らん異性の人達と住むなんざまっぴら君です。

と気の弱い私はその場で言うことができなかった。

 

何か飲む?ジュース?水?コーヒー?

みんなでにこにこと出迎えてくれて、やけにフレンドリーだ。

今まで訪ねた家は立ち話がほとんどで、他の住人はいても挨拶を交わすくらいでさっさと立ち去るのがふつうであったし、飲み物などを勧めてきてくれるところなど皆無であった。

住人全員で歓待してくれて話をするなどということは初めてであった。

何故平日の昼間にいい年をした男たちが家にいるのかという疑問は胸によぎったが、

みんな友達を迎え入れるかのように楽しそうにしている。

良かったら座って話でもしようと椅子を勧めてもきてくれた。

連日の部屋探しでは話をしようと言ってきても私への興味などではなく、家賃が本当に払えるのかを値踏みしてくる匂いが香ばしく漂ってきたり、なにか取り繕う感じの笑顔がやるせなかったりした。

住人が男子ばかりであったのでもうここに用は無く、ちゃっちゃと適当に部屋を見てさっさと帰ろうと思ったのだが、多少緊張している私を気遣っておどけて見せたりするレオたちの歓待ぶりが心地よく、少し話をして家の中も私の住む用の部屋も一通りきちんと見せてもらうことにした。

みんなで話をした居間は広々としており、調度品なども新しくは無いがおしなべて趣味が良い。

私が住むことになると案内された部屋は今まで住んでいた広さが取り柄の某会館の部屋よりは若干狭いが、ウォークインクローゼットというのだろうか、収納スペースがふんだんにありすっきりしているところに天井も高く窓も大きく開放感がある。

さらにセミダブルのベッドつきと、今まで見た中で一番理想に近い部屋だった。

 

そして、実は私は彼らと話しをしているうちにひとつ確信したことがあったのだ。

全員いる前で聞くのもちょっとどうかと思ったので、部屋を見る間にレオと二人だけになったとき勇気を出して聞いてみた。

 

ねえ、あなたたちって、ゲイだよね?

 

うん。そうだよ。

ファビオは僕の恋人さ。

 

やっぱし。

 

誰もしぐさが女性っぽかったとか、おネエ言葉でしゃべっていたとかではない。

私はそっちの組合の友人が多く、特にブラジルのサンバダンサー界には死ぬほど多いので長年の鍛錬の結果、そっち方面に関し著しく目が肥えてしまっている。

種を蒔いた日から日々成長する麻を飛び越えているうち驚異の跳躍力を身につける忍者のように、少し話せばその人がゲイかノーマルかは大体見分けられるような修行を知らず知らずのうちに積んできていた。

ちなみに、私は日本にいるとき『そのとき、カツラが動いた』という本をパート3まで熟読した成果の賜物で、ズラについてもかなりの確率で見分けることができる特殊能力を持つに至っている。

履歴書の特技・資格の欄には運転免許の下に整形3段・ズラ8段・シリコン12級・ゲイ4段、と書き添えても差し支えないだろう。

そういったかなりの猛者であるので私の周りにいる上記のいずれかに属する方々はぜひ気を引き締めて挑ってきて欲しいと思う。

 

 部屋を見た帰り道では、やけに頬が緩んでいた。

駅までわりと距離がありしかも上り坂で、帰りに計ったところちょうど15分だった。

私の欲していた駅近物件とはかけ離れている。

治安の問題は私にとって最も真剣に考えなければならないポイントなので、

帰りが遅くなった時に駅から15分もかけて歩いて帰るなどということは絶対に避けたかった。

 

ところが私には恥ずかしながら人と違ったことをしたくてたまらないクソバカ野郎的な部分がある。

日本の友人たちに、今度ブラジルでゲイたちとアパートをシェアすることになった、と言いたくて堪らなくなってきた。

 

だがもちろんそれだけでは決めることはできない。

それにいろいろ考えると、やっぱりゲイとはいえ男性ばかりの家に女子ひとりで住むのは常識的にいかがなものだろうかとも思う。

明日もまた数軒、本来の希望である女子たちでシェアする部屋を見に行く予定をしている。

ここに決めたわけではない。まだここに決めたわけではないが、

 

それでも何か新しい日々が始まる予感はしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いろんな部屋・サンパウロ

サンパウロでハウスシェアをするために私が見に行った部屋たちを一部、ご紹介しよう。

 

駅から500mの家の部屋

二つのラインが通っている便の良い、狙っていた駅から500mほどの場所にあり新しくて綺麗そうな家に現在女子二人で住んでいるといううたい文句に惹かれ、早速連絡をして部屋を見に行った。

ところでブラジルには坂が多い。

そんなブラジルでもあまり見たことがないほど、8年住んでいる私が山とか崖以外の、普通の舗装された道路の中ブラジルで出会った一番の急傾斜沿いにその家はあった。

確かに駅からは500m程かもしれないが、これは過酷すぎる。

人間の平衡感覚に支障をきたしそうなその景色にくらくらし、約束を破って引き返そうかと思うほどだったが、

せっかくここまで来たのだからとぜいぜいと坂を下りながら家を訪ねる。

一応ね、見るだけ。

心は斜め坂のせいでかなり萎えていたのだが、対応してくれた大家の女子は明るく爽やかで聡明そうで大変好感を持った。

さっさと坂のことは忘れ、

きっと私たちいいお友達になれるわねケイティ!!

と心の中でつぶやき、

早くもパジャマで女子トークをするシーンを想像し愉しんだ。

家も広く新しく清潔で、バス・トイレも二つあるので渋滞しなそうだし何よりケイティたちとの観たことはないけどsex on the cityのような日々が私を待っている。

上機嫌でまた連絡するね!と家を後にしたが、そう、帰りには現実が、夢のような日々への妄想をぶち壊す地獄の上り坂が私を待っていた。

この私が、毎日この坂を上って仕事や遊びに機嫌よく出かけられるだろうか?と問いつつ心は千々に乱れた。

坂以外の部分はかなり気に入ったため、期限までに他にいいところがなかったらここに住もうと決めて、駅までの地獄坂を上った。

 

46歳の女性が住む家の部屋

これは広告を見たときに40代の女性がひとり住んでいて一緒に住む女子を募集中と備考欄にあり、

駅からはちと遠いが広くて綺麗そうな部屋だったので連絡を取ることにした。

こちらではwhat‘saapという日本のラインのようなスマホのアプリがよく使われていて、そこではほとんどのブラジル人がプロフィールに自分の写真を載せている。

彼女の番号を登録してwhat‘sappでメッセージを送ろうとしたところ、表示された小さく丸で囲われた写真のお姿に違和感があった。

拡大して見てみると、

 

f:id:joE:20160710022215j:plain

そう、そこにはどう考えても女装して一生懸命に胸の谷間を寄せているおじさんが写っていた。

ちょっと興味は沸いたが、一緒にふたりで暮らすとなると、写真の彼女がちょっと攻撃的な感じに見えたのと、

何か特筆するのは義務ではない備考欄にわざわざ女性一人が住んでいると書き込むメンタリティに相容れないものを感じたので、連絡するのをやめた。

 

あいつが見ている部屋

 

仕事場から歩いて30秒という奇跡の立地

スーパーの隣でとても便の良いところにあり値段も安めだった。

2階建ての家のドアをあけると大家で職業バンドマンだというおじさんが迎えてくれた。

夫婦やら女子ひとりやら4,5人で住んでいて、住人同士の交流もあるという。

部屋もまずまずの広さだ。

だが、あいつがいる。

f:id:joE:20160707202746j:plain

私の借りる部屋の前であいつがいつもこっちを見ている。

f:id:joE:20160707202110j:plain

 

朝仕事に出かけるときも夜中にトイレに行くときも、おはようからおやすみまで暮らしを見つめられてしまう。

この生首は何のつもりなのかとやんわりと質問すると、これはアートであるとバンドマン鼻の穴を膨らませて自信満々に訴えてくる。

こんな、変なキノコでも食べないと発想できないような装飾センスを持つ大家の部屋に住むのは一体どうなのか。

住むことになったら一応あいつだけはどかしてもらうようになんとか説得し、俺のハイセンスな感覚がわからないなんて、とぼやかれながらもしぶしぶ同意させたのだが、すれ違った住人たちの目がことごとく死んでいたのと、値段を確認するとサイトに表示していた価格より2割増しでふっかけてきたので信用できなくなり、やめた。

 

そのほかも他の住人達が必ず私の部屋を通路にしないと出入りのできない部屋、見に行ったら誰かと相部屋だったり、また例の監獄的女中部屋だったケース、友達を呼んだりできない部屋、広告に偽りアリの値段詐称部屋など数々の部屋を見に行った。

びっくりするくらい条件のひどい部屋でも不景気のせいかかなり高額で募集をかけている。

毎日毎日一時間おきくらいに部屋探しのサイトを見ていたが同じ広告がぐるぐる回っているだけで新しく希望に沿う物件には出会えない。

この日までに出て行ってほしいと言われた期限の日までもう2週間を切ったというのに住みたい家が見つからず、

クリスマスなのに恋人にプレゼントを買うお金がないカップルばりに悲しい気持ちになり、私の心は窓の外にいた猫のその瞳のように灰色に曇っていた。(自慢の金時計と髪を売ってお互いトンチンカンなプレゼントをし合い愛を確かめ合う外国の寓話より)

 

サンパウロの部屋探し

まずはサンパウロのもといた家の近くと仕事場にも近いいくつかの駅に絞ってその駅近を探す。

今まで駅まで徒歩3分という好立地に住んでいたのでぜひとも5分くらいまでのところに住みたい。

部屋探し専門のサイトの有料会員に登録しこれはと思う物件があればコンタクトを取り部屋を見に行き気に入れば契約するという順序だ。

はじめはサイトの見方がよくわからず戸惑った。

そしてちょっと気に入った部屋が見つかってもなにかやたらとはにかんでしまう。

今日はやっぱりやめといたほうがいいな。よし明日にしようっと、と、

下駄箱にラブレターを入れられない中学男子のようにもじもじとし勇気がでないのだ。

 

そんなことをしているうちにどんどん時は経ち、これぞという部屋はなかなか見つからず、良さそうな部屋でもあちらのお目がねにかなわなかったのか返事がないこともあった。

やばい。

指で881(やばい♡)と無意識にかたどってしまうほど焦ってきた。

f:id:joE:20160706125240j:plainf:id:joE:20160706125256j:plainf:id:joE:20160706125309j:plain

写真協力:セバスチャン

 

とにかく行ってみないと始まらないと、いろんなところを見に行ってみることにした。

初めて見に行ったのはサンパウロのビル街の超中心の通りで駅からも仕事場からも近い絶好の立地の部屋であった。

隣に大家さんの家族が住んでいて奥さんと10歳くらいの娘で対応してくれたのだが、なかなか感じがいい。

何人かの女子が住んでいてバス・キッチン等は共同だ。

ひとつ部屋を見せてもらったが、8畳くらいに括りつけのタンスとベッドがあるまあまあ悪くない部屋で、

16階の窓から大通りと都会の景色が一望でき、ああ、私サンパウロの中心で愛を叫んだりしちゃうのねとテンションが上がってくる。

話をよく聞いてみると、部屋を誰かと分けないとうたっていた値段よりかなり高い家賃になるという話だった。

なるほどサイトに記載してあった値段に幅があったのはそういうからくりだったのか。

誰か知らない人と毎日8畳のスペースで同衾?するのは苦痛だし、

高いので借りられませんと言うのは負けなのでさも吟味しています、というふりをして値段にビビったのを顔にださず部屋を見続ける。

もうひとつの安い部屋があるからそこを見せてくれるというので心の中でそうこなくっちゃ!と小躍りしながらおばさんの後についていく。

そこは、3畳くらいの窓のない薄暗い部屋であったが、10畳以上あった元住んでいた会館の部屋のほぼ倍の値段であった。

こちらにはわりと良いアパートには女中部屋的なお手伝いさんの部屋があるのが一般的で、どうやらここもそれ用に作られた部屋のようだ。

サンパウロのビル街のど真ん中と言えどシングルベッドひとつおけばいっぱいの監獄のような部屋に今の家賃より倍の値段を払って住まないといけないのか。

どんどん現実の厳しさが押し寄せてきて期待に膨らんだはずの自慢のボインもみるみるしぼんでいく。

手のひらに881と3回書いて飲み込むくらい焦ってきた。

条件をかなり譲歩しなければならない。

私の欲望をすべてかなえてくれる夢のような部屋はこの世に無いのだ。

 

部屋探しは難航した。

 

 

アマゾンとボイブンバ

なにかいろいろなことを書く予告をした途中なのですが、実は先週アマゾンに行き、念願のボイブンバ祭りを観覧してきたので、取り急ぎその写真を調子に乗ってアップします。

 もうかれこれ15年くらい前に浅草サンバカーニバルで私の所属チームのテーマがアマゾンだった年があり、ボイブンバというブラジルはアマゾン独自の踊りのグループの一員として参加させてもらった縁で1年間くらい、踊るセンスの塊と呼ばれる全身ばねばねボンバーガール(後半適当)、現沖縄 ✖重罪、〇在住の看護師であるとりちゃんのボイブンバレッスンに通わせてもらっていたこともあり、いつかは行きたいとずっと思っていた場所であった。

アマゾンはマナウスに駐在妻となった愛する友人が、泊りにおいでよ、と言ってくれたので、ついに長年の夢が叶えられたのでありました。

心優しい友人とポルトガル語が超堪能で親切なその旦那様のおかげでアマゾンにて今回ばかりは素敵な日々を過ごせたのです。

いつも私がブラジルで辛酸をなめてばかりいると思ったら大間違いですよ。

ですが、もちろん今回もまた飛行機に乗り遅れ、乗り遅れたと思ったら実は予約されておらず、早朝からごねては泣き叫び、だがしかしどうにもならず、予約した倍以上の値段で次の便を予約し直し、予約し直した8時間後に空港に向かうもバスを乗り過ごしまた搭乗時間に間に合わず、200レアルの罰金を払ってなんとか次の飛行機に飛び乗り、やっとの思いで無事にマナウスの空港に着いたものの、さらに予約されたはずであったボイブンバ祭りの開催されるパリンチンス行きの飛行機もなぜか取れておらず、空港にある予約していた旅行会社を訪ねてまたひと悶着あり、諦めてネットで取ろうとしたらカードが通らず友人の旦那様のカードで買ってもらった(後日返金)ことは君と私、二人だけの秘密だ。

これにはまたいろいろ事情があるのだが、もうみなさんもそして何より自分がこういうことに飽き飽きしているので、これ以上深くは語るまい。

いつも飛行機に乗り遅れている人、というイメージがついてしまっているはずで、焼け石に水と思うがこれはレアケースであることは一応記しておきたい。

 

それでは気を取り直して、私の人生で数少ない素敵な日々の写真を披露させていただきたいと思う。

 

f:id:joE:20160703111041j:plain

お船でアマゾン川(正確に言えばネグロ川)クルージング。太ももが眩しかろう。

 

f:id:joE:20160703111129j:plain

さりげなく尻を撫でる猿。

 

f:id:joE:20160703111253j:plain

まるで海のような美しいアマゾン川

 

ブンバ・メウ・ボイ観覧

 

私は青チーム(カプリショーゾ)側で観覧。(赤青の2チームで優勝を競うため、必ずどちらかを選ばなければならないのです)

青チームのTシャツを買っておらず、こういうときに限っていっつもそうなのだが、たまたま何も考えず白地に赤い模様(敵チームカラー)の上下つなぎの服を着ていた。

周りのみなさん青いものを着用しており、よしんば敵チームカラーを身に着けている者は見渡す限り私だけなのに気が付きどうにもいたたまれなくなって(チームごとに応援する人たちはほとんどが赤か青の服を着るのが暗黙の掟なので)Tシャツを買おうとするがひとりで入場するための列に並んでいるので買いにいけない。

青い人波の中で自分だけがちょっと赤い。

苦肉の策で友達の子供のためにお土産で買ってあった1歳児用のTシャツを胸にぶら下げてさりげない仲間感を醸し出し急場をしのぐ。

f:id:joE:20160703111204j:plain

 

f:id:joE:20160703111320j:plain

館内で売っていたバナナチップは、甘いのかと思い込んで買ったのに、ほんのりしょっぱくケチャップ付き。(砂糖まぶしたバージョンものちに発見)

 

f:id:joE:20160703112349j:plain

とうとう私はここにやってきたんだなあ、

とじんわり感動してしまう。実はちょぴっとだけ泣いたりしながら観ていた。

最後は疲れ果てていたのとたっぷりの待ち時間にビールをたくさん飲んだので半分寝ていたとはいえども。

f:id:joE:20160703112421j:plain

無料の観客席は応援もいろんな趣向を凝らして盛り上がる。

応援する側が演じているときは観客席にも明かりが灯る。赤青合戦なので、コカ・コーラの看板すら青く演出しているのが素敵だ。

 

f:id:joE:20160703112457j:plain

隣の席の人が興奮して踊りまくり、このポニーテールで何度も横っ面を叩かれてとても邪魔だったので気になってあまり観覧に集中できず。

 

f:id:joE:20160703112550j:plain

今回優勝したガランチード。敵側の番になると味方チームの人がいっぱい帰るので実は敵チーム側のほうが座ってゆっくり観られることが判明。

 

私はダフ屋で椅子席を買った。

1日だけの観覧なのでだいぶ安く購入でき、100レアル。

ダフ屋のおじさんと本物かを確かめるため一緒にオフィシャルの入り口のスタッフの人にこれで本当に入れるのか確認しに行く。

大丈夫だと保証してくれたのでダフ屋に付き添われこっちに行けと言われた長蛇の列の最後尾につく。ここは無料の観覧席の列ではないかと何度も確かめるも、ここでよい、みんなチケットを持っているのだ、とダフ屋のおじさんに言われ、一時間ほど並ぶ。

歓声が響いているので始まっているのだとすごく焦っていたのに、

いざ入り口にたどり着くと、ここは無料の席の列だよ、と入場口スタッフにあざ笑われた。

確認したときに入り口でここに並べと言ってきたやつを見つけ、あんなに確認したのにと思うと悔しくて仕方がなく、

『あいつ!あいつがここに並べって言った~~~~!』

と半泣きの大声で指をさし告発すると、にこにこ笑いながら、いや~勘違いだよ~、と椅子席の正規の観覧者入り口まで送ってくれた。

友人が、アマゾンの人は人はいいのだけどのろまだから、、、と冷静に言っていたことを思い出す。

ダッフンダのおじさんも間違えたスタッフも笑ったスタッフたちもただただ何も把握していないだけで悪気は全くないようなので許してやった。

 

f:id:joE:20160703112628j:plain

観覧からの帰りは、今回いろいろ散財してしまったのと、ふとアマゾンの風を感じようと思い立ち、通常のタクシーより割安であったバイクタクシーで空港まで行く。

途中街頭も人気もない道で減速されたので、ああもうここで盗まれ犯され殺されて埋められるに違いないとブラジルに住んでから500回目くらいに思ったがそれは杞憂であり、今回も一応大丈夫だった。

脇腹に持ち手がついているところがしびれる。

 

f:id:joE:20160703111354j:plain

左上から、ワニの甘辛煮、焼きワニ、ただのオニオンフライ

左下から亀そぼろ、亀そぼろ煮、亀の血煮込み。

f:id:joE:20160705005328j:plain

ワニの鍋焼き、と書いてある。 

 

f:id:joE:20160705005404j:plain

アマゾン川を遠くに捉えることができるゴージャスな友人のマンションのベランダから。ホテルのようなリッチな一室を私のために用意してくれた(自慢。)

 

f:id:joE:20160705005432j:plain

どうだ。かわいかろう。

お土産に買った青い赤子用ブンバTシャツ。しばしお借りした、例の一歳児用のTシャツだ。事情を話す前に着せられていたので、私の汗と涙のしみついたブツであることをためらいながら告白。やつはまだなにもわからないので、あまりなじみのない女の汁シャツを無邪気に身にまとっていて不憫に思う。

 

残念ながら青チームは負けてしまったので、

これを着せて町をあるいたらこの子が敵チームの暴漢に襲われて殺されはしないかと友人に余計な心配をかけてしまった。

サッカーチームのノリとは違うので大丈夫だと請け負い、この心配も杞憂に終わった。

ブラジルではいろいろな危険があって何かと心配だ。

みんなこうして無事生きていてよかった。

 前半いろいろあったが感慨深いよい旅だった。

ブンバを教えてくれたとりちゃんよ、心配性の友人のご一家よ、

なんかみんな、ありがとう。

 

今日のブラジル(フェスタジュニーニャ)

フェイスブックにこのブログのことを書いてみたところ、1日に誰も見ていない日もあったこのしょーもないブログが一気に何百ものアクセス数になったので、感謝祭がてらリアルタイムのブラジルの風をみなさんに届けようと思う。

6月(7月も)はブラジルでは広範囲に渡りフェスタジュニーニャ(またはジュリーニャ)、という祭りがいたるところで行われており、クワドリーリャという田舎風の衣装で基本子供たちや男女がペアで踊ったりして楽しむのだが(詳しくはググって♡)、

私は今リオの例の郊外の別宅に来ており、おんぼろアパートの門を出て15歩ほどのところで町内会の祭りが開催されていて、その催しがそれにしてはかなりクオリティーが高いので、急慮みなさまにお見せしたいと思う。

 

言っておくけど、急に思い立ったことなので面白い話なんかは無いよ。

そんなにむやみに欲しがらないで欲しい。

たまには普通の情報を垂れ流してみようじゃないかということで許していただきたい。

 

ブラジルの都会に住んでいる方や日本のサンバ関係のみなさんはサンバシーズンオフの冬の郊外のブラジルの顔をご存じない方もいると思うので、なかなか興味深いところもあるのではないかと思う。

 

それではいってみよう。

 

f:id:joE:20160703131723j:plain

アパートの門の前の道。いつもより祭り目当てに路駐の車が多い。

 

f:id:joE:20160703132031j:plain

歩いて15歩のとこ。夜の12時すぎなのに子供も多い。結構な賑わいだ。

 

f:id:joE:20160703132154j:plain

町内会の祭りのくせにクワドリーリャのダンサーのショーがあったり。

 

f:id:joE:20160703132414j:plain

衣装も踊りもなかなかのクオリティー。

 

f:id:joE:20160703132714j:plain

正面で見ていてすごく邪魔だと思っていたおじいさんは、実はMCも兼ねていた。ダンサーの落ちた帽子を機敏な動きで拾ったりとなかなかの働きぶりだった。

 

f:id:joE:20160703133049j:plain

ビデオをアップしようと思ったのだが、ブログでアップできないのか自分の不勉強のせいかよくわからないので、最後に今回初顔出しであるあの、ありがとうはいいから早くパンツ脱げでおなじみの大家のサンドラさんとその孫の写真でお茶をにごさせてもらいたい。サンドラさんの顔が蝋人形のように写っていて怖いが、もうちょっと美人さんであることを一応付け加えておく。

 

 

 

サンパウロのお引越し

 飛行機に乗り遅れた話の途中ですが、そしてこれを書くまでに1か月以上も空いてしまいましたが、今日はサンパウロの家の引っ越しをしたそのご報告です。

日系人カラオケのメッカと勝手に呼んでいたくらいカラオケが盛んな謎の会館から引っ越し、ブラジル人たちとアパートをシェアすることにしたのでした。

ビール瓶で頭を勝ち割りあうくらい関係が悪化していた(※心象風景です)会館側が男性専用の住む施設にするので出て行ってくれと告げてきたのだ。

実はいきなりな話でかなり動揺した。

確かにここ2年くらい女子は私しかおらず、一人で2つ3つある女子用トイレを使いこれまた2つあるシャワールームを気分によって使い分ける優雅な日々を送っていた。

男性は他に5人住んでいたが、ひとつのシャワールームをみんなで使っていたしトイレも2器だけだった。

男女のバストイレを交換して使うという提案もできたように思うし、長年住んでいたところをいきなり出てけという横暴に一瞬訴えたろうかなどという考えもちらついたが、なにせビール瓶で…(以下略)なので、事務所の前を通るたび後ろを向いて中指を立てるような暮らしの中でストレスを溜めるよりもこれを好機ととらえ新天地を求めることにした。

部屋が広くて安さと立地の良さが魅力であり、がっつりと住み始める前、 年に数か月単位でブラジルに来ていた10年以上前からお世話になっていた場所だった。

なんだかんだ文句を言いながらも愛着とさみしさに不安も入り交じり複雑な気持ちではあったが、それから部屋探しの日々が始まった。

はじめはひとりで住むアパートを探してみたのだが、いろいろ難しい。 完全にひとりで住むとなると家賃も跳ね上がるし洗濯機や冷蔵庫などの家電製品やタンスやテーブルにベットなどの家具も新たに買わなければならない。

家具付きの部屋を探すといっても家電製品までついている部屋はほとんどないか、出張者が住むようなお高いところになってしまう。

しかも保証人が必要で、頼むあてがないわけではないし家賃を滞納して逃げる気は毛頭ないが、できれば誰かの負担にならないに越したことはない。

それに今さらながら、せっかくなのでポルトガル語をもっと話せる環境を求めたい。

 

サンパウロで日本人向けにサンバなど教えて生計を立てている環境上、日常的にポルトガル語に触れる機会は実はそう多くない。

あと、私の中の日本人のDNAがそうさせるのか、たまにめげるとブラジルを自分からシャットアウトして鎖国したくなる時期がある。

ブラジルにいながらなるべくブラジル人やブラジル文化にいっさい関わりたくないという思いでいっぱいになり、その間は主に日本料理を食しパソコンで日本のお笑い番組を浴びるように見、日本の漫画をむさぼり読む。

一度鎖国中に日本に帰ったとき高校時代の友人たちとの集まりで、そこにいた誰よりもぶっちぎりで日本のお笑いに詳しすぎるので、あいつはブラジルに住んでいるふりをして実は群馬に住んでいるらしいという噂が立ったほどだ。

そんな感じなので精神力と克己心が弱まっているときはブラジル人の友達にも会わないしブラジルにいるのに本気で一日に一言もポルトガル語を使わない日があったりする。

これではだめだ。

やはり常にポルトガル語を話すような環境に身を置きたい。

できれば仲良くなって一緒に出かけたり料理を作ったりパジャマパーティーをできるような新たな友達も作りたい。

そんな理由から、私の欲望をすべて叶えてくれそうなアパートシェアへの夢は膨らみ、インターネットで部屋探しをすることにした。

こちらではわりといい年をしていても誰かとアパートをシェアするのは一般的だし、プライバシーもそこそこ守られるという情報を得て、これだ!と、ほくほくしていた。

 

実はもうとっくに引っ越しを済ませたのだが、次回ではまずいろんな部屋を見に行ったときの話を聞いていただきたいと思う。

 

まず先走って予告写真を一枚、公開させていただきます。

 

f:id:joE:20160623164028j:plain

あいつが、見ている。。。Coming Soon!