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ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

ブラジルのラブホテルに泊まる

昨日ラブホテルに泊まりました。

おっと、誤解しないでいただきたい。

残念ながらなんら色っぽい話ではない。

 

なぜならば、

 

ひとり

 

で泊まったからだ。

 

私は高校の友人であるQ子により命名された“忘れんぼ大将”という異名を持つほどの年期の入ったうっかり者である。

お笑い界でいえば欽ちゃんレベルなのだから忘れ物界では相当の大物だ。

私の住むところには朝から夕方まで門番がいるので(日本の友達に、どこ住んでんのいったい門番て?城?、と聞かれたが、こちらのマンション・アパート等には門のところに常駐している人がいて開けたり閉めたり開けたり閉めたりしてくれるのが一般的である)、その時間内は門の鍵を使う必要が無いため、鍵を忘れて家を出て気づかないままになることも多い。

 

友人たちと飲んでほろ酔いで家の前に到着し鍵を探すも、どこを探しても鍵が見つからない。

どこかで落としたような場面も思い浮かばない。

出かけるとき急いでいたのであまり覚えていないが、焦って部屋のドアに鍵を刺したまま出てきてしまった可能性が濃厚であると判断した。(門の鍵も部屋の鍵と一緒にしている)

 

実は今月既に一度鍵を洗面所に忘れて出かけてしまったばかりである(2週間ぶり・2度目)

その時は帰宅しようとした時間もそんなに夜遅くなかった為、たまたま門の前の道でケーキを売っていた見ず知らずのカップルに、ここの門を入る者がいたらこの紙を渡してくれ、と、理由と電話番号をしたためた紙を用意した後、やけくそでカラオケに行って熱唱している間に同じ宿泊施設に住む人が帰宅しその紙を見て連絡をくれ、鍵を開けてもらうという離れ業でなんとかしのいだのだ。

おっちょこちょいが原因で日常的に困った場面にちょいちょい出くわすので、そういうときなんとかするためのアイディアをひねり出す能力が異常に発達してしまっている。勝率は8割程度だが、追い詰められた時の自分のとっさの機転には我ながら感心だ。

だが昨夜の帰宅は23時を過ぎており、道でケーキを売る人どころかほとんど人通りが消えかけている時間になっていた。 

2週間前に使った手は今回は使えそうにない。

同じところに住む他の住人たちとは挨拶や軽い立ち話くらいするときもあるが、個人的な付き合いはないため連絡先を知らない。

いくつかの部屋の窓から電気がついているのを確認できるも、門の外からはかなり距離があり、叫んだところで気が付いてくれる可能性は低い感じだし、正直みなさんの名前もうろ覚えだ。

こんなところでクールな都会における若者たちのかかえる孤独の闇が浮き彫りにされるも、今はそれについて深い考察をしている場合ではない。

門をよじ登ろうとしたり、試しにインターホンを押してみたものの各部屋にまでコール音が届くように設定されていないのでむろん何の反応も無く、そうこうしているうちに午前0時近くなってしまった。

疲れていたし友人の家にこの時間から泊めてくれと頼むのも気が引けたので、もう家から1分のところにあるラブホテルにひとりで泊まって一夜を過ごすことに決めた。

 

いくら鍵が見つからないからといって、通常外国でラブホテルにひとりで泊まるという発想はそこいらの素人ではすぐ出てこないであろう。

実は私には前科があるのだ。

以前日本から友人女子2名がカーニバル時期にブラジルに来た際、普通のホテルは満杯か猛烈に高かったため、一般客も受け入れていたラブホテルに泊まったところを訪れたことがある。

そこでは小さな子供連れの夫婦なども利用しており、TVをつけるとのっけからアダルトチャンネルが映ることとコンドームが枕元にセッティングされていることを除けば、あまり普通のホテルと変わりはないか、むしろそこらのビジネスホテルに泊まるより廉価でサービスも良いということを知った。

カーニバル時期でなくともひとりでも泊まることが可能であるということも。

(ただし娼婦と客のトラブルに巻き込まれる危険もあるので注意が必要とのこと)

 

そしてついにはリオに自分が出られるサンバチームを探していた折に、目を付けたチームの最寄りのラブホテルに数回泊まった。

コパカバーナや中心街ならいざ知らず、郊外の貧民街にほど近いサンバチームのそばに普通のホテルがあるはずも無く、チームの練習が終わるのは夜中過ぎになるので、できればすぐさま熱いシャワーを浴びて大きいベッドで眠り、練習とサンパウロからの移動の疲れを癒したいと渇望した。

リオーサンパウロ間はバスで6時間~、ドアードアで7,8時間くらいかかる。練習の後にタクシーで中心街まで移動しビジネスホテルに泊まるのは金銭的にも肉体的にも負担が大きい。苦肉の策として何度かひとりでラブホテルの門を叩いたのだ。

 

それは友人のヤスミンちゃん(私の彼はバンジードの回参照)が出会った当初に何かというとラブホテルを使用するように薦めた影響でもある。

私がヤスミンちゃんの友達夫婦と待ち合わせをする際、迎えに行くまであと2,3時間かかるからそこにあるラブホテルで待っていろ、という指示を出して来たり、

ヤスミンちゃんの家に泊まらせてもらっていた時にブレーカーが焼き切れて停電した際には夜中に車を飛ばしてラブホに連れていかれたり(部屋は別)、

また、私の日本人のゲイの友人と待ち合わせた時も時間に遅れていたのでそれまでラブホテルで待っているようにと告げていた。

まだあまりブラジルに慣れていない日本人が治安の良くない地域でひとりうろうろするのを心配したせい(あときっとめんどくさかったせいw)だと思うが、はじめこそドギマギしたものの、彼女の教えに従っているうちに私もひとりでラブホテルを利用することにすっかり抵抗感を無くしていった。

 

あまつさえカーニバル本番当日の出番を終えた後の混乱の中、着替えと家の鍵を預けていた人物とうまく落ち合うことができず、ブラジャーの中に忍ばせておいたなけなしのお金をかき集めて、

「こんな恰好でなんなんですけど、これで泊まれますか~?」と、

ピエロ風の個性的な装いにミニスカートを合わせ大胆なカットの襟元には大きなポンポンをあしらってみました☆的な衣装とギラギラの化粧のままでラブホテルに直行し泊まったこともある。

 

かように私とブラジルのラブホテルとの関係は深い。

 

私がとうとう日本に本帰国することになったその日には帰りの飛行機の中、

自分脳内体育館において自分主催、たくさんの自分卒業生や自分校長先生、自分在校生代表や自分親を出席させ、大々的に自分ブラジル卒業式を開催することになるはずであるがそこでは、

 

心に残った思い出のトピックスとして

(立ち上がって)自分A「ひとりで泊まった」

(立ち上がって)自分B「ラブホテル」

全員「ラブホテル―」

というくだりはきっと欠かせない見せ場のひとつとなるであろう。

 

 

 

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鍵~

 

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廊下~

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ベッド~

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テンションあがってひとりで宴会~

夜食を買い込んだ、すき家~(すきや~)

3つ飲み物があるのが、他に誰かいるみたいで怖かったこと~(こわかったこと~)

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部屋~

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意外に悪くなかった、朝食~(あさめし~)

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朝っぱらに入った、泡風呂~(あわぶろ~)

 

 

門番がとうにいる時間を見計らって翌朝なんなく家に戻る。

何にもしていないのにホテルから出るときはちょっと後ろめたい。

 

鍵はやはり部屋のドアに刺さっていた。