ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

愛と友情のマクンバ 実践・完結編(の前編)

相変わらず元気に泣き暮らしている。

毎日、今日も泣き濡れている最中ではあるが、セバスチャンとの別離による悲しみのあまりに最近は景気の悪い話が続いているので、今回はやっと、ずっと放置してあった、飛行機に乗り遅れる話

飛行機に乗り遅れる《前編》 - ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

とともに、楽しみにしているので続きを書けと(ひとりずつだけに)言われた、マクンバをしたときの話

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の続きを書こうと思う。

 

マクンバにおいては特に(普段もわりとそうなのだが)役立たずのくそ人間であった私だったが、やっとそれっぽい仕事を与えられた。

身体を清める儀式のためのハーブの準備をしろという指令だった。

いろんな種類の葉っぱのついた木の枝を渡され、バケツに3分の1ほど水を張ってこいとのこと。

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その地べたに座ってこの葉っぱをせっせと手でもいでバケツに入れるのだ、と言う。

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いまいち完成形が良く分かっていないので、ガキの使いのように途中で何度もホーザに確認しに行く。

バケツに入れた葉っぱをさらに細かくちぎり、水の中でもんでもんでもみほぐし、出汁を取れということらしかった。

何度も、もうこれでいいか?と、質問をしに行っては、まだだ、まだだ、もっと細かくちぎれ、もっとだし汁を出せ!と言われ、かなり手が疲れてくる。

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やっとこのくらいもみしだいたところでホーザのOKが出た。

 

ヤスミンちゃんは台所で何かの調理のようなものをしている。

サッカーボールほどの大きさの鍋に血なまぐさい何かをドボドボと流し込んでいる。

なんか、これ見たことがあるなあ。何だっけか。

【ミオロ】という名前で、確か以前マクンバショッピングに付き添いで行ったときに肉屋でヤスミンちゃんが購入していた記憶がある。

思い出した。

牛の脳みそだ。

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その奥の皿の上にわざわざ物置を漁って取り出してきた謎の生首のオブジェを置き、脳みそに謎の液体と塩っぽいもの混ぜ、さらりんと木の棒でまぜまぜしている。

まぜまぜするとぷ~んと生臭~いにおいが立ち昇ってきた。

 

ヤスミンちゃんは魔女だったのか。

 

トカゲのしっぽや干からびたコウモリは入れないでも大丈夫なのか。

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冗談ではなく本当にそんな材料があるかもと怯えつつヤスミンちゃんの仕事を眺めていた。

さらにブラジルでは非常にポピュラーであるマンジョッカ(芋の一種)などを乾燥させた食用の白っぽい粉などを何種類かをまぜまぜして、卓球の球よかちょっと大きめ程度の白団子を何個もまるめて、生卵と一緒に半透明のバケットに並べていく。

そして炭をガスレンジで直火焼きして素焼きの壺のようなものの上に置く。

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うわー、脳みそ~!ぎゃー!これ食べるの?!

などと五月蠅いので、祭壇のために買ってきたものを紐解いて庭先の棚の上に並べておけ、と追い払われる。

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りんごや薔薇の花と花びら、素焼きの壺やリボンと包装紙、ローソク、葉巻、金粉など。

 

また、玄関先に向かったホーザにちょっと来て、と呼ばれ、家の外に出た。

塀の向こうにある近所(他人)の家に生い茂った木の枝をこのナイフで切って、と頼まれる。

私はタッパ(最近この表現あんましないよな)があるので、彼女が届かないどんな高い場所でも簡単☆ラクラクだ。

ニュー高枝切りバサミ(日本直販)としての役目を順調に果たしながらも、人んちの枝を断りも無くむやみに切っていいもんなんだろうか、と心配した。

アメリカだったら訴訟問題になりそうだ。

ブラジルにはご近所トラブルなんて無いのだろうか。

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ブラジル人であり、そういた部分おおらかなホーザは、そうそう、これが無くっちゃね、と何も気にしていない。

私がもみしだいた草たちと何が違うのか私にはさっぱりわからなかったが、何かこだわりがあるようだ。

 その間ヤスミンちゃんは雰囲気を盛り上げるためか、それっぽい音楽をYOUTUBEで探しスピーカーに繋いでかけ始めていた。

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この夜分遅くにドンドコドンドコドンドコドンドコと太鼓の音が鳴り響き、民族的な歌声がこだましている。

神秘的な宗教儀式といえどもYOUTUBEて、ブラジルの現代化の波を感じさせる一コマで、ちょっと笑える。

 

夜もかなり更けてきて、夜中の12時を回ろうかという頃。

緑ブラの彼女と私でこれを持って出かけてきなさい、とヤスミンからバケットを渡される。

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何本かの白いローソクと白団子、生卵、謎の黒団子と変な草。

それにおまえの手持ちの銀色のコインを全て出せ、とカツアゲされバケットに散らされる。

確か、他にぶっといローソクや素焼きに移された例の脳みそなども一緒に持って行け、などと言われたと思う。

ヤスミンはここで祭壇の準備などをもう少しするから、付き添いのホーザに車を運転してもらい出かけ、やり方のレクチャーをしてもらえ、とのこと。

やり方?一体何のレクチャーなのか。

ホーザは私と緑ブラを乗せ車を運転してくれ、しばし近所をうろうろする。

何か、どうも明確な目的地があるわけではなくて人気の無い場所を探しているような感じだ。

よし、ここでいいわ。

住宅街の道路の小さい用水路の横にさびれたブランコがあるコンクリートのちょっとした三角公園的なスペースの側に車を止め、私たちにも外に出るようにいう。

そこに通行人のカップルが歩いて来たのを見て、私たちを手近な家の軒先の目立たないところにいるようにと呼びよせてやり過ごした後、脳みそやらが盛られた素焼きの皿を人目をはばかりながら端っこに置いて、ぶっといローソクに火をともしその横にさっと立てかけ、さあ、もう行くわよ!と車に乗り込む。

どういった意味があるのかまではわからないが、以前ヤスミンちゃんと夜中にファベイラのファンキに出かけた時も、ギンギンにオシャレをしたヤスミンちゃんが途中で何かにウジの湧いた素焼きの皿を車を止めた川沿いの道に置いてパンパンと払い、よし、これでいいわ、さあ、行きましょう、と引き続き遊びに繰り出したことがあったので、その時と同じようにマクンバの儀式の一環なのだな、ということは予測できた。

そのまま帰るのかと思いきや、ヤスミンちゃんの家の通り沿いの道で車を止め、例の白団子とローソクを渡される。

私と緑ブラはまず団子を電柱の側に置け、と言われ、そこに並べる。

そしてロケットペンシルくらいの細長いロウソクを4本ずつ、その2本は過ぎ去って欲しいネガティブなことを想いながら、残りの2本は自分に起こって欲しいポジティブなことを想いながら、なるべく細かくそのローソクをぽきぽきと折りながら祈れ、と言う。

さらに各自生卵3個とさっき私がカツアゲされた銀貨を電柱に背を向け後ろを見ないようにしながら軽く投げて再び祈れ、と促された。

その間にローソク全部に火を点し、私たちを見守るホーザ。

緑ブラの彼女は慣れているのか一心に願い事を祈っていて、私はその横で薄目を開けては彼女を見て、あ、まだだったか、と再び目をつぶり、おまけに大金持ちにもなれますように、など欲望の赴くまま思いつくことをこの際お願いしてみた。

そういう手順であるとは知らなかったので、咄嗟に思いついたことしかお願いできていない。

もっと早くに言ってくれていれば、もうちょっと高尚なお願いだってできたはずだ。

世界平和とかな。

だが、予め言われていたらいたで、私の欲をすみずみまで叶えるための祈りの時間は3時間は要すであろうと予想する。

全く欲が深い。

だがその一方、かように強欲ファッションモンスターであるくせして、この私が3時間も集中して祈り続けることなんてできないとも予想する。

ちょっと考えただけで飽きてきて面倒になり、あー、私が超幸福になるための願いが全部叶いますように、これだ! だって、神様なら私が何を望んでるのか全部わかってるよね?

あ、つーか、魔法使いになりたい♡ これで良くね?

という小学生レベル、というよりクソ人間全開フルスロットルなことをつらつら考えてしまいかけていたので、もしたくさん時間を与えられたとしてもどうせ爪の甘皮を押して爪の領域を広げようと試みたり、片足で何秒立っていられるか秒数を計ったりして無為な時間潰しにいそしんでしまったに相違ない。バリバリだぜ。

 

ヤスミン宅に戻ると、庭に祭壇がしつらえてある。

 

もう午前0時を軽く過ぎていたが、ここからやっとメインの儀式が始まるようだ。