ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

ブラジルで手術!

数日前、ブラジルで手術をする手筈とあいなっていた。

 

私は昔っからひどく脚がむくむくにむくみやすく、脚の疲れ感もひどいので、何か健康的な問題があるのかもしれないと気に病んでいた。

ここ1年くらいでそれがひどくなって痛みがあり、脚の血管が尋常でないくらいボコボコと浮き上がって来てしまっていたので気になって、ここブラジルで病院に罹ってみることにした。

私の数少ないつてを辿っていろんな人に話を聞いたり、自ら調べたりしてもなかなかそれに特化した良い医者を紹介してもらうことは難しく、勧めてもらったひとつの、現在最近のブラジルで手広く展開している早い・うまい・安い、との牛丼屋ばりに最近定評のある診療所を訪ねてみた。

まず何週間かかけていろんな検査をし、とりたててすぐに命に別状のある類のものでは無いが、なるべく早いうちに手術をすることに越したことは無い、という診断を受けたので、手術をやってみようと覚悟を決めたのであった。

 

激しい運動は一ヶ月くらいは厳禁だということだったので、仕事を休ませてもらうようにとかの手配を事前にいろいろ考えた末やりくりをしてこの手術の日に臨んだのだ。

股関節のとこをちょっと切ったりしないといけないという話だったので、手術の切り口に万が一変な毛が入り込んで手術の邪魔をしたりしないようにと、私にしては万端にブラジリアンワックス脱毛までして来たる日に備えるという完璧なありさまで、全くもって準備に余念がなかった。

 

数週間前に直接主治医と手術日と手術を実際にする病院を確定し、2日前には診療所を通しての手術予約確認の連絡も受け、8時間前から何も食べてはいけないとの決まりも尊守し、緊張しながら当日、手術日を迎えたのだった。

 

だが、いざ病院に着いてみると、手術の手配がされていないのでおとといきやがれ☆、とあしらわれた。

 

でーたーブーラージーーール。 

 

 繰り返すが2日前には手術の確認の電話も受けていたし、支払い済みの書類を提示し、そんなはずはないとなんとか食い下がって予約などを管理する事務所に通してもらうと、

数日前にもドクターに予約を確認しているのに何の返答もなかったので予約が取れていない、今できるだけは聞いてみたがやはりもう今日の今日では手術室も麻酔の先生の手配もひとつの空きも無いため不可能なので、他の日に予約をし直してまた出直して来い、と言うのだ。

おまえはもうここに居る意味は無いからと事務所からも追い払われ、とにかく診察を受けた診療所と話せとの一点張りだ。

その診療所と連絡を取ると、手術をする病院の手違いなのでどうしようもない、と言われ、手術をするために今ここにいる病院側は診療所側の不手際のせいだ、と断固として誰も間違いを認めない。

 

一体誰のせいでこんなことになったのだ??と双方に問い詰めるもそこだけは『あれ?なんか急に誰にも私の声が聞こなくなっちゃったのかな?』と一瞬疑ってしまうほどサラっと聞き流され、とにかく他の日に手術をする日程を決めるのがあなたにできる唯一のことなのだから他に方法は無い、早くしろ、と双方より急かされる。

 

こちとら頼れる人もいない慣れない外国で不測の事態(しかも明らかにあちら側のミスだ)に孤軍奮闘しているというのに、こんなのはあんまりな仕打ちだ。

 

流暢とは言えないポルトガル語で抵抗を試みていたものも、これ、いつものブラジルのやつだな、、、と心の奥底では既に絶望感でいっぱいだった。

 

何度か病院の人と話し、診療所の人とやりとりをし、とにかく3日後には予約を取れるように手配をしてあげられるのだからむしろ貴方はラッキーだ☆、くらいのことで、私の今日に向けての準備で失った時間や仕事を休んで失った賃金においての保障、何より私の傷ついた心のケアにおいて誰もひとつも欲しい言葉を投げかけてくれはしない。


数時間押し問答を繰り返し、諦め疲れ果てて泣きながら帰路のタクシーに乗り込んだ。

 


こんな時は酒だ酒だ。誰か速攻で良く効くテキーラ持ってこーーーい

 


堪えきれず、帰りのタクシーの運ちゃんに、あなたには何も関係も無い話なのだがちょっと聞いてはくれないか、と話しかけてみた。

私がすぐ先ほどに起こった事を語るに、もちろんいいよ!と聞いてくれた親しみやすいその頭頂がザビったおじさんは、キリスト教の敬虔な信者であるようで、

『残念ながら、日本とは違って、ブラジルではそんなことは日常茶飯事なんだよね。僕はこの病院の偉い人も良く知ってるし、この病院はいい病院なんだけどね、、、でもいっぱい従業員もいるからさ、いい病院だって、少しは間違えたりするダメなやつだっているかもしれないからね。。。

そんな時、僕はいつもこう思うんだ。

例えば何かの不手際で飛行機に乗り遅れたとする。

その時は悲しいね?

でも、するとその君の乗り遅れた飛行機が落ちてしまってもし乗れていたら死んでしまっていた、っていうことだってある。

何事も人生万事塞翁が馬。

君がもし今日予定通り手術をしていたら、実はまだ君のコンディションが整っていなかったり、オペのミスで命を落としていたかもしれない。

そう考えたら、そんな偶然はすべて君が良い方向へ進む思し召しなんだよ。

だって、神様は世界の全部を見ているのだから。』

と、啓蒙活動をされてしまった。

 


 本当に世界がそうだったら良いよね。

 


なかなか含蓄のあるお言葉であったが、そう簡単に改宗することは今の私には出来かねた。 

現在心が荒廃しきっている私には正直ポジティブシンキングすぎるようにように思えた。

つーか、ただのあっちのミスじゃん。

こんなことがブラジルにおいては大小含めて月に一回以上起こりうるので、私としてはどうにも理不尽としか思えず、つーか、とりあえず謝れよ、という感情しか浮かび上がって来ない。

 

こんなときのブラジル人の友人、と思いこんなことがあったので話を聞いてくれと連絡をするも、もうそんなんこっちでは文句を言ったってどうしようもないからすべての記憶を失い速やかに次回の予約を取ったほうが良い、と助言された。

すんごく高い保険に入っていたり、超ド級の高級病院に罹ったのであったらいずしらず、普通の病院では受け入れるしかないのがブラジルの現状なんだと。

金がある人は待ち時間も無く何か月待ちのところでもすぐに優先され、貧乏人は公共の病院で死ぬほど待たされ、(私は一応私立の病院で支払いも既に済ませていたというのに)運が悪ければ別にそのまま死ぬ、というのがブラジルなのだ、というシビアな現実を追い打ちかけて言い募る。

 

今日はもー、そういうの、いい(泣)。

 

そんなんも聞いて、結局すごすごと3日後の手術を予約することに決めた。

あなたの連絡が遅いので手術は2、3か月になるとかも言われかねないから、やはり、むしろラッキーだよ☆とご友人はおっしゃった。

この日本に比べて過酷な状況がそうさせるのかもしれないが、ブラジル人にはポジティブな考えを持つ人が多いのではないかと思う。

どうしたらそんなにポジティブでいられるの?と質問したら、うーん、生まれつきかな!と電話口で快活に笑った。

自信満々に発表させていただくが、こちとら生まれつきすこぶる前のめりにネガティブなタイプなのだ。そんなのどうしようもねえ。

その日はもうそれ以上何も考えたくなくて、家に着いて酒をかっくらって文字通り泣き寝入りした。

 

私にとって久々のビックウエーブであったブラジルの洗礼からまだ完全に立ち直れていないのだが、実はこれを書いている今日現在は、すでに延期された手術は2日前に一応無事済んでいる。

 

それは良かったのだがこの話の肝はそこでは無く、実は明日、私は日本への一時帰国を控えているというところなのだ。 

10日、、、いや術後ギリでも1週間は危険なので飛行機に乗ってはいけない、と医者に言われたのでさんざ相談した挙句休める期間と照らし合わせて手術の日程を決めたのに、あちらの不手際で手術の延期が決まったとたんにその医者は、3日後の飛行機に乗っても大丈夫だお☆と請け負った。

 

 

ブ、ブラジルに、、、殺される。。。

 

 

と、云う訳で、絶対に早く明日の準備をして寝たほうがいいに決まっているのだが、不安も相まって興奮して眠れないので、せめて死ぬ前にと恨みつらみをここに書き記してみている。

 

 

本人は、結構本気で言っている。

 

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