ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

番外編~ブラジルに住んでない・日本人サンバダンサーの華麗な日常⑦闘膝痛記Ⅵ最先端医療への道・APS(高濃度PRP)療法、診察編2

ついに治療の日はやって来た。

だが朝目覚めた時、私は病院に行くつもりなどさらさらなかった。

一応の予約をした時に、いつまでにやると決めないとダメですか?もしキャンセルするとしたらいつまでに連絡すれば、、、?と問うも、

『あ~、いらないいらない。こっちも忙しいし、来なくても誰も気にしないから大丈夫。』

多分特殊対応だとは思われるが、膝名医先生はフランクにそうおっしゃった。

なのでお言葉に甘えてぶっちぎろうかと考えていたのだった。

しかし、週末に5回目のヒアルロン酸治療(5回でワンターン)も終えたのだが、ほとんど効果は感じられなかったし、他の施術においてもやはり同様だった。

さらに前々日に急遽浅草サンバカーニバルのお手伝いで(演者ではない。スタッフだ)駆り出され張り切って久々に動き回ったこともあり、治るどころか膝は腫れ、痛みは増していた。

昼過ぎとなり前日の酒がまだ若干残っているぼんやりした頭で考える。

ああ、そういえばもう来週には日本にいないんだなあ…。やり残したことないかなあ。。。つーか、え、マジ来週?え、え?もうそんなんなる?え!?ダメじゃん!膝、治ってないじゃん!そんで多分このままじゃ治んないじゃん!どーしよどーしよ!!…今何時だ…?お、予約した時間にはちょうど間に合いそうだな…とりあえず、、、行って、考えよう。うん、やっぱり専門だという先生に最後に話だけでもちゃんと聞いてみよう。

と、土壇場になって、咄嗟に病院に行ってみることに変更したのだ。

 

予約は入っていたものの、予想はしていたがかなり待たされた。

夕方から友人との予定が入っていたので、もしかしたら遅れるかもと断りを入れておく。

名前を呼ばれ診察室に入り、やっと再生医療の専門女医先生にお目にかかれた。

本当に美人だな、、、女医さんで、頭も良くて、若くて美人って、、、すげーな、人生で思い通りにいかない事なんてないんだろうな~。。。つーか、そんな人信用できるんだろうか。こんな何もかも持っているキミになぞ私の膝の気持ちはわかるまい。

 と、1億パーセントひがみだけでできている感情を抱きつつ診察に臨む。

まあ今日は話だけ聞こうと思ってきたんだし、いっか。話だけ話だけ。

実はまだこの治療をするかを迷っていることを告げると、専門女医先生は私の話に熱心に耳を傾け質問に答えながら非常にわかりやすく説明をしてくれた。

この治療で半月板損傷に効いたというデータもあること。水が溜まりやすい人には炎症や痛みが収まる可能性は高いこと。私のケースでは膝に痛みを感じているうちに脳のその伝達する部分が過剰に発達して痛みを余計に感じてしまうという現象が起こり慢性化につながっている恐れがあること。

やはりこの治療はデータが少なくそれぞれの体質や症状などにもよるので万人に治るとは言い切れないのだが、私の症状の場合は改善する可能性が高いと思われること。

ほう、やはり話は聞いてみるものだ。思ったよりも良くなる可能性は高そうじゃないか。

ただし、効いたとしてもその効果が長く続くかどうかはまだわかっていない、という。

『いや、実は私は踊りをやってまして、ただ、私が現役でやれるのももうそんなに長くないと思っているので、この数年だけでも…最後に、また思いっきり踊れるようにどうしても治したいんです。』

「そうなんですね、1,2年であれば効果が継続する可能性は高いです。。。踊りは、どういった踊りをされているんですか?」

『あ、サンバ、です。』

 

「ああ、どうりでお綺麗な方だと思った。」

 

繰り返そう。先生はこう仰った。

 

「ああ、どうりでお綺麗な方だと思った。」

 

「ああ、どうりでお綺麗な方だと思った。」

 

「ああ、どうりでお綺麗な方だと思った。」

 

ここは とても大事なところなので3回繰り返した。

 

この先生はなんて正直な方なんだろう。信用できる。人を見る目がある。ご自分のほうが若くてお美しいのに人を褒めるなんてとこも謙虚でなかなか見どころがあるし、コミュニケーション能力も申し分ない。その上頭も良くて優しく品がある。この先生なら施術の腕の方も間違いなく期待ができ、私の膝の気持ちのすべてがわかるだろう。前言なんて撤回だ。

 

気が付くと私はこう口走っていた。

 

『私、やっぱり今日、やります!』

 

 

2万本のうまい棒が飛んでいく。