ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

洪水のリオ

このブログは始めたばかりで読者などいやしないのだが、読んでくれた友人に『写真が少なすぎる』という指摘を受けた。

そのことも考慮して今回は昨日遭遇したやや珍しい体験を写真とともにご紹介したいと思う。

 

雨が降り始めた。

ちょうどおなかも減っているし近くを通りかかったので、

雨宿りがてらリオ・デ・ジャネイロの、コパカバーナと中心街の間のカテチというまあまあ良い地域にある私のお気に入りのレストランに入った。

到着するやいなや、雨はものすごい豪雨となった。

台風のような豪雨であるので、いくら傘を持っていてもそう易々と帰ることはできない。

夕食は食べ終わったが、ウェイターさんが『ビール三杯飲んだら一杯はタダだよ』という殺し文句でアシストしてきたため、ビールを飲みながら雨が止むのを待つことにした。

しばらくすると店員がばたばたしはじめ、掃除を始める。

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雨漏り?

 

かと初めは思ったがどうも水びたし具合が尋常でなく、奥まったところにある私の席のすぐ手前まで水が迫ってきている。

どういうことかというと、外はこういうことになっていた。

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普段の光景をみなさんご存じないので伝わりにくいかもしれないが、川のようになっているところは本来は道路であるべきで、流れてくる右奥の黒いごみ袋がベタな昔の漫画のようだ。

 

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雨は止んでもみんな帰れない。

 

つまりレストランは雨漏りではなく、床上浸水をかきだす作業を総出でしていたのだ。

3杯目のビールもとっくに飲み終わっているが、これでは帰る気にならない。

 

出口のお姉さんに、いつ水が引くのか一応聞いてみる。

『わからない』

そりゃそうだ。

さらにしばらく待つが、水は引く気配もなくこれはらちが明かぬと勇気を出してお会計をすませて出口へ向かう。

ほとんどのお客は食事を終えているが、私以外に帰ろうとするものは誰もいない。

民衆(レストランにいる人)たちの期待と興奮の熱い視線を背中に感じる(ような気がする)。

 

あいつなら、きっとやってくれるさ―――――。

 

勇者の誕生である。

 

出口から外を見、

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いや、やっぱこれ無理だわ

 

と戻りかける。

戻りかけるが、なにしろこっちは民衆の期待を一身に背負っている身なので後には引けず、

まずは水がどの辺まで来ているのか足を入れてみる。

特筆すべきは、本日履いてきたサンダルはおろしたてであったことだ。

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『このサンダルは今日初めて履く新品なんだよ!ひどくない?!』

持って行き場の無い気持ちを出口のお姉さんに一応ぶつけ、ついでに写真を撮ってくれと頼む。お姉さんは愚痴っぽいジャパニーズガールのイカれた注文にも快く応えてくれた。

 

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サンバダンサーの職業病で小指が立っているのが多少気にはなるがそれはさておき。

これならなんとかイケそうだ。

今日は短パン履いてきててよかった。

ジーパンなど履いてきていたらダメージがハンパない。(あ、なんかヘンにかかってしまった。)

 

 

この水の中を歩く剛の者はやはり私以外にいない。

駅まで5分の道のりがとてつもなく遠い。

急に段差があったりするので慎重に歩かねばならない。 

 

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ごくたまに車が通ると引き波にあおられて短パン下ぎりぎりまで水がくる。

 

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隣のバーにいた人たち

 

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応援される

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水上バス(ウソ)

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手前のごみ箱とよく見ると駐禁をきられている車が悲しい

 

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スーパーマーケットの帰れない店員たち

 

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帰れないと見せかけて脚を宙に浮かせるエクササイズで体を鍛える人たち(ウソ)

 

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どんどん水位が上がっている気がする。

 

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もうなんかキラキラしてきた

 

やっと駅に着く。

 

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改札付近と外があんなことになっているのであきらめて座り込む人たち(奥)

 

 

 気がつけば帰るのにずいぶんと時間がかかってしまった。

 

昨日は友達みんなとショーを見る予定であったのだが、

 

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やっと会場に着いた時、ショーはとっくに終わっていた。

 

 

蛇足だが、リオという単語はポルトガル語で『川』という意味もあるので、川(リオ)のような洪水となったリオ(地名)、というダブルミーニングのなかなか良くできたタイトルであることもここに記しておきたい。