ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

サンパウロのお引っ越し2018さらば、ゲイ男子との暮らし(2)

あと1週間で2017年も終わるというある日。

友人に教えてもらったFacebookのサンパウロのアパートを探すグループにやっと条件に合う部屋の募集が上げられた。

もう2,3ヶ月、本腰を入れて探し始めてからは1ヶ月以上経っていたが、毎日いろんな募集サイトをチェックするも条件に合う部屋が見つからずこりゃ困ったことになった、最悪は今の家をあと数か月延長するのもやむなしかと頭を抱えていたところであった。

この期に及んで贅沢を言っている場合では無かったが、引っ越しというものは相当な労力を必要とする。

どうせ引っ越しをするならばちゃんと長期で住める、そして今よりもちょい便利なところに引っ越したいと思うのが人情というものではないか。

妥協して住みたくもない不便な場所や家賃の高いところに住んでまたすぐ引っ越しを余儀なくされるのは避けたかった。

カーニバル前後はとても忙しくなるので、年末年始の仕事の休みの間に引っ越しを遂行させなければその後また2~3ヶ月はこのまま引っ越しができなくなることは間違いない。

このゲイハウスは私にとってかなり理想に近い家であり場所であったが、駅に遠いことがややネックであったので、今度こそ駅近な場所、どうせならもっと都会の仕事場にも近いとこに住んだろ、と目論んでいた。

募集の主は男性で、3人で住んでいたところに一人が出てゆき部屋が空いたので男女問わず募集、と書かれていた。
今度こそはブラジル人女性たちとパジャマパーティーできる家を!としつこく望んでいたが、贅沢は言っていられない状況であり、とりあえず部屋を見に行くことにした。


家主と言ってもシェアする前提で代表して借りているミナスジェライス出身の男性で、アパートは持ち家ではないとのこと。

またゲイだったらいいなあ~。

とわずかな期待を持ち家を見に行ったものの、家主さんはゲイではなさそうだった。

家主さんはアゴ髭を蓄えていてずんぐりとした30歳くらいの健康そうな、こういったらなんだがあんまり色気がある感じでは無く、とても人のよさそうなフレンドリーな人だった。もうひとりの住人も男子だが、とても良い奴だよ、と言う。


うーん、、、男子と住むのはやっぱどーかなーーーー。


私は背が高くやや男顔、体型も日本人にしてはボリューミーで、生まれながらの女子であるにもかかわらず化粧をすればするほど“完璧な女装”にしか見えなくなるので、私のことを人はこう呼ぶ。“良くできたオカマ”と。

その上サンバなどやっていると、色気ムンムンで、“男を見ればたちまちアン・ルイスのように襲い掛かかる”と想像されてしまうのだが、このブログを読んでいる方や私を良く知っている方は既にご存知のように私はそういったタイプではない。

大学時代の親友には、おっきくて食べ出がありそうなのに見掛け倒しな“麩菓子”みたい、と駄菓子に例え評されたこともある(不愉快)、肉食にはほど遠く、座右の銘は「イミテーション・ゴールド」だ。

だがしかし、こっち側の色気の問題とかでは無くて、もし一緒に住んだらやつらが頭のおかしいド変態野郎で、部屋に夜な夜な忍び込んで血の付いたナイフを舐めながら天上から吊るした私を犯してくる、という可能性だって絶対に無いとは言えないじゃないか。

いくらオカマ麩菓子とはいえ一応女子のはしくれではあるので、自意識過剰と言うなかれ持ち前の過剰な妄想をして警戒をしてみた。


残念だが家主はゲイではなさそうだったので、女子と住んで共同の物干し場にパンツなどを干したりしても迷惑では無いか、なども質問をしてみた。
おまえは夜な夜な私の下着を盗んで頬ずりをするくそ変態野郎では無いのかという趣旨の質問に思われたならどうしようかと一瞬自分の“いかにも自意識過剰のブスのしそうな”発言を悔いたものの、彼は気にしてはいないようで、

以前に男女の兄妹と住んでいたこともあり慣れているので気にしないでも大丈夫だよ、と笑い飛ばしてくれた。

いろいろ話すにつれ、誠実そうだし、レオとの家での管理費不払いやらのトラブルについて語りそういうことも無いようにと確認するも、家のこともちゃんとしてくれそうなナイス・ガイである感じを受けた。

こう言うのもなんだが彼となら色気抜きの純粋な同居人としてうまくやっていけるんじゃなかろうか。


今までの家よりも共同の居間は3分の1くらいと狭いし、私が住むことになるという部屋も若干は手狭になるが備え付けのダブルベッドも収納もそれなりにあって悪くない。

どうせ部屋にいる時も、もともとの貧乏性のせいでどんなに広い部屋を与えられたところで結局は定位置の2畳ほどのスペースでほぼ寝転んでいるだけだろうし、居間にしたって今までだって広くても自分がいるスペースはほとんど限られていたので、開放感はやや落ちると言えども私には十分なアパートであると判断された。

家賃も今の家とほとんど変わらない。

そのうえ大通りからもワンブロックほどで駅からも歩いて3分くらいの超が付くほどの好立地ときている。

かなり気に入った。部屋も、同居人含めた環境もこれならイケそうだ。

でも、以前の部屋探しでレオの家に訪ねた時もレオをいい奴そうだと好感を持ったりしたので、私は私のことを決して信用してはならない。

これ以上の物件に出会えることはもうないでしょうと思ったが、一応考えてまた連絡させてもらう、と言ってその家を後にした。


どうしたものか悶々と考えていたところ、またレオのアパートで組合の人に話しかけられる。
私は協力的にしていたつもりにも関わらず、まだ管理費を払ってもらっていないので、本当にあなたは家賃をちゃんと払っているのか?とまた疑いの目を向けられた。

もういい加減にふざけんなと頭に来て憤慨するも、レオに連絡が取れないのでお母さんに連絡したら、実際今住んでいるのはあなたなのだから管理費はそっちに請求しろ、と言われたのでこう言ってるのだ、、、と告げられた。

Wi-Fiもガスも使えない上に、そんな状況で長期滞在者がつかないこの家で、決して君には面倒はかけなからと、実は何度か訳の分からない民泊者の管理も実は頼まれており快諾して面倒もみてやっていたのだ。

案の定鍵が無いので約束の時間までに帰って開けてくれ、とか、部屋やトイレを汚されて私が掃除をしてあげたり、あれが無いこれが無いと文句を言われトイレットペーパーまで私が買いに行ってこき使われたのに、この仕打ちはあんまりでは無いだろうか。

その上、電気代の請求書があんまりにも溜まって来ていたので開けて見てみると、案の定鬼のように支払いが滞納されており、いよいよあと10日ほどで<電気完全撤退のお知らせ>が来ている。
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Wi-Fiもガスも使えないのも、数か月の滞納であったなら私が立て替えて払って家賃から引いてもらえば良いだろうと思う方もいたでしょう。
そんなのこっちはとっくに考えて手を打とうとしていた。
ブラジル人の親切な友人に調べてもらったところ、ガス代はもう数年分も溜まっているらしいということだった。
数千レアル(10万円以上)にもなり、私がちょっと肩代わりする規模の金額ではなかった。

Wi-Fiについて言えば、この家に請求書が来る設定になっておらず、その振り込みコード番号を聞いて代わりに支払いに行ったこともあるが正規の請求書が無ければダメだと突っぱねられた上でのレオへの振り込みという手段だったのだ。


これだけ我慢に我慢を重ねて、信用できないところもあるが悪い奴ではないからとレオをかばって揺れる気持ちもあったというのに、それももうここまでだ。


さらにその翌日、レオから連絡があった。

何かと思えばまたもや金の無心だった。

この期に及んでまた私に借金を頼むのか、と腹が立ち、今すぐ出て行くという気持ちをぶちまけたくなったが、まだ新しい家に住むことは確定していないので、なんとか耐えた。


もう私に他の選択肢は無かった。
とっとと先に見に行った家を決めなければ。



いいところですが、また次回に続きます。


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