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ブラジル・日本人サンバダンサーの華麗な日常

ブラジルに住む日本人サンバダンサーの全く華麗ではない日々

疑惑の隣人-リオ・デ・ジャネイロ盗難事件

 

つい最近こんな記事を書いたばかりであるというのに、

joe.hatenadiary.com

 

実はリオ・デ・ジャネイロの自宅であるものを盗まれてしまっていた。

 

前回のカレーな日常でも少し触れたが、ある日洗濯物を取り込もうとすると、

干していたブラジャーだけが無くなっていた。

私のリオのおんぼろアパートは同じ階に4つほど部屋がある。各自バストイレキッチン込みの6畳ほどのスペースでひしめき合うように暮らしている。

洗濯機なども無いので、洗濯用タンクと、テラスとは名ばかりの物干し場も4つの部屋の住人たちで共同で使っている。

 

天気があまり良くない日で一昼夜を通して翌日まで洗濯物を干しておいたのだが、取り込む際に、一番手前の壁際に干しておいたブラジャーが無いのに気がついた。

ブラジャーと言っても背中がY字になっていて光沢のある生地で編んである、大胆なブラジル人ならトップだけでも装着可能な、言わば見せブラというやつだ。

さすがに下着っぽいものは自分の小部屋の窓の近くに干すようにしている。

 

おかしいなあ。。。昨日夜に帰って乾いてるかを確認したときはあったしなあ。。。でも、帰りにちょっと飲んでたし、無意識にブラだけ取り込んでどっかしまっちゃったとかか。。。?

 

とグレーなまま部屋の中を注意深くブラジャーを捜索しながら1週間以上過ごしたが、やはりどこにも見当たらない。

 

むやみに人を疑うのは良くないのでブログに書こうかどうか悩ましい日々を費やしていたのだが、

ぶっちゃけすぐ隣の部屋に住んでいる隣人が怪しい、と思う。

 

私は一番奥の204号室に住んでおり、隣の203号室にはここ3,4年ほど前から20代後半と見られる夫婦が住んでいる。

そう、以前ここにも書いたが、

joe.hatenadiary.com

 

このくだんの、手癖の悪さに定評のあるすぐ横の部屋に住む妻が怪しいとにらんでいる。

 

ただやみくもに人を疑っているわけではなく、証拠こそ無いものの疑うにはそれなりの根拠があるので、彼女との間で起きた数々の出来事をお話ししたいと思う。

 

まずは隣人夫婦が引っ越してきてすぐのクリスマスの日、妻が私の家の扉を叩いた。

おしゃれするのにピアスのキャッチが見当たらないので貸してくれ、と言うのだ。

そのときはまだ本性を知らなかったのでなるべく親切にしたいと思い、自分のピアスのキャッチの一つを取って彼女に渡した。

ブラジル人の貸しては=ちょうだいと同義であることが多いので、まあ返ってこないだろうな、と思ったが案の定返ってこなかった。

まあ、これくらいはべつにいいけど、と気にしていなかったのだが、少しずつ少しずつ彼女は侵略を試みてきた。

 

ある日は平日の昼間に服を洗う洗剤が無いから貸してくれ、と言う。

彼女はいつも暇そうにしていて、専業主婦で子供もいない。

近くのスーパーや雑貨店はぶっちぎりに開いている時間である。

暑い日はドアの開閉式のガラス戸の下の部分を開けっ放しにしていたので、格子の隙間から洗濯用洗剤が見える位置に置いていたのを目を付けたらしい。

 

つーか、買いに行けばいいじゃん。

 

とは思ったが、洗剤がそこにあるのが見えているので持っていないとウソもつけず、その頃はまだなるべく隣人に親切にしたいという気持ちもあったので、変だと感じながらもそれを差し出した。

 

次は何かかわいいワンピースを貸してくれ、とお願いしに来た。

友達ならまだしも、そんなに親しくした覚えも無いのになぜ他人にワンピースを貸してくれといきなり頼んでくるのかの意味がわからない。

サンバの練習のために気張ってメイクを施しお洒落をして行くのはいわば踊り子の義務でありたしなみなので、そんな恰好で家を出る私を常日頃チェックして機会を狙っていたようだ。

ところで彼女は憎々しいほどに太っている。

背は低めだが、程度で言えば褐色のブラジル製渡辺直美といった具合の肥えっぷりだ。

 

いやいやいやいや。入んないって。絶対無理だって。

どう対処していいのか困惑してしまいとりあえず部屋の前で彼女を待たせたままいろいろ服を取り出してタンスをまさぐっていると、

 

これよ!これは私に似合うわ!!

 

と、ドアの隙間を押し分け甲高い声を張り上げながら断りもなくずかずかと部屋に入り込み、私がそのとき手にしていたワンピースを体型に不似合いな俊敏な動きでもぎ取った。

彼女は私が持っていた唯一といえるひどく伸縮する素材のそのチューブトップワンピースを素早くむりくり服の上から装着すると、

 

ほら!ピッタリよ!!ねえ!似合うでしょ!!

 

とドヤ顔で訴えてくる。

ピッタリどころかかわいかった花柄のプリントは何の柄だか判別できなくなるほどで、そこにはみしみしと縫い目の部分が果てしなく広がり悲鳴を上げている私のワンピースが。

 

ああ、のびちゃう。のびちゃうよう。

 

このワンピースはずいぶん前に買ったものでお気に入りであったが柄がトロピカルすぎてあまり着る機会の無かったものなので、仲の良い友達にだったらなんならあげても良いと判断したかもしれない。

だが何よりもそのすうずうしい態度がものすごく不愉快だったので貸したくない気持ちで胸がいっぱいになった。

どうしたものか躊躇しているうちに彼女の勢いに負けて断り切れなくなり、せめてもの抵抗で必ずすぐ返してね、と念を押して貸すことになってしまった。

 

だが案の定2、3週間経ってもとんと返しに来る気配など無く、催促しても返さないのでイライラと日々を過ごしていたところ、共同の物干しに洗って干してあるのを見つける機会に恵まれたのですぐさまひっぺがし無事奪還を遂げた。

そのまま放って置いたらさんざん着たおされ、二度と返ってくることはなかったに違いない。

 

またある日、洗濯機を買ったから使う住人たちでお金を出し合って欲しいと言われた。

洗濯機が無くとても不便に思っていたので、快くOKすると200レアルほど(当時1万円くらい)を援助して欲しいとのことだ。

その時家に現金はあったのだが、出がけであったので後で払うと約束して家を出た。

家に戻ってお金を用意するも、チョ、チョット待てよ、と心のキムタクが呼び止める。

何か香ばしい匂いがする。

彼女の話では電機屋で買ったところでもうお金を支払ってあるので、あとは届くのを待つばかりであるということだった。

しばらく様子を見た方がいいかもとお金を渡すのをのらりくらりとかわして時は過ぎ、案の定もう何年も経つのに洗濯機は一向に届く気配も無い。

のんびりしたブラジルだから、ずいぶん時間かかっちゃってるんだね。

と考えるほどに私はお人よしではなく、

その時何かに必要だったのか、後さき考えずに私を騙してお金をせしめようとしたようだった。

何故そんなすぐにばれるようなウソをつくのか訳が分からず、情報通である大家のサンドラさんにその件を告げてみた。

 

joE!ダメよ!!あの子には何も貸しちゃいけないし、何があっても隙を見せちゃいけないの!

近所に住む彼女の実のおばあさんだって、彼女が家に遊びに来ると家にあるいろんなものが無くなってしまうっていっつも愚痴ってるのよ!私だってお金を貸して返ってこなかったこともあるし。だから彼女を私は絶対に家にも入れないの。

スウェーリョ(202号室に住む推定90歳くらいの老人)だって、置いておいた年金が無い!無い!って何度か騒いでて、証拠がないから言わなかったけど、絶対にあの子がやったに違いないのよ。悪い子じゃないけど、盗み癖があるの。

旦那さんのほうは働き者の誠実でいい子よ。彼女が返さなかったお金をこっそり返してきたのも彼。彼も彼女のそういうところは本当はわかってて黙ってるの。そのうえ彼女は働きもしないくせにお金が無いって彼に文句ばっかり言っていっつも大声で怒鳴って大騒ぎして。ここはファベイラじゃないのよ!あんまり下品なケンカばっかするなって言ってやるわよ!あの子はだめよ!そのうち彼にも愛想をつかされて落ちぶれてヤクザの情婦になるくらいしか道は無いのよ!

 

と、堰を切ったように暴露話が止まらない。

 

サンドラさんは悪い子では無いと言っているが、老人たちの年金を盗み、隣人を騙そうとする人間はわりと悪い子だと思うのだが皆さんどうだろう。

 

まあでもぎりぎり私にそれほど実害は無かったので、それからは気を付けて挨拶などはするがかなり距離を置き、何かを貸せと言われても持っていないと言い張ってしのいでいた。

 

私は強盗などの被害に遭ったことは無いと書いた。

道などでそういった被害には真実今まで遭ったことはない。

が、実はこのブラジャー事件の、ちょうど1年前にこの道を通った夜、ではなく、ちょうど1年前の昼に家の引き出しに小分けにして入れておいたお金が盗まれたことがある。

 何日か前から家の鍵の調子が悪くて、しまいには鍵を入れてもどうにも回らなくなり完全に鍵がかけられなくなってしまった。

その日の夜にサンパウロに帰らなければならず、しばらくリオの家を留守にするので家の鍵が壊れてしまっていては家を離れることはできないと、不用心だと思ったがちょっとの間、鍵をかられないまま家を出て駅のそばの鍵屋さんを訪ね急いで15分ほどで戻ってきた。

出がけに鍵屋に支払うお金を念のため引き出しから出し、残った現金を別々にしておこうとそれぞれを3つの財布に分けたばかりだった。

リオからサンパウロに帰るためのバスの運賃100レアルと予備のお金の100レアル、そして細かいお金30レアルほどをそれぞれ別々の財布に分けて入れ、引き出しの中に保管して家を出た。

 

鍵屋さんを連れて戻り、これは最新のものにしないとまたこういうことが起こるかもしれないから錠ごと変えた方がいい、と言われ、そうするとお財布に入れておいた金額では足りなくなったため、引き出しを開けると3つの財布の中のすべてのお金が忽然と消えている。

うっかり者として世に名を馳せる私ではあるが、ほんの15分前に小分けにしたばかりのお金なのでさすがに鮮明に覚えている。

手元のお金が足りなかったので錠前は新しいものには取り替えられず、とりあえず今の鍵で使えるように直してもらい鍵屋さんにはお引き取りいただいたのだが、

 はて、お金はどこに行ったのだろう。

それでも自分の勘違いかもしれないと家中を家宅捜索するが、やっぱりお金はどこにも無いし、出かける直前にお金を小分けし引き出しに入れてから出かけた記憶がさらにはっきりとしたものになってゆくばかりである。

 

やられた。

これは盗まれた。

 

私が鍵屋さんに向かってアパートの前の道を歩いていたときに見上げると、窓から外を眺めている隣人の姿があった。

私が鍵屋を連れて戻った頃には出かけていたようだが、彼女はそのとき確かに在宅していた。

壁の薄い安アパートでは隣の部屋の鍵をかける気配が無かったのさえ察知することは難しくないだろう。

 

家探しを一通りしてこれは盗まれたと確信したので、大家のサンドラさんを呼び事情を話す。

 

やられたわね、絶対にあの子よ。

 

詳しい事情を話すまでもなく、彼女は断言した。

鍵屋さんに出かける時にサンドラさんに部屋を留守にする間見ていてもらおうと呼びに行ったのだが、その時は教会に行っていたらしくちょっと前に戻ってきたところだった。

サンドラさんには何度も合鍵を預けていたこともあるし、彼女は決して人のお金に手をつけるような人ではないことを知っているのではなから疑っていない。

 

私の部屋はおんぼろで狭く貧乏人しかいないアパートで、通りすがりの空き巣に狙われるようなところでは決して無い。

門を通って狭い階段を上がった3階の廊下の奥の突き当りに位置しており、わずかな間にたまたまコソ泥が通りかかり目を付け忍び込み引き出しにあるお金だけを抜き取るとは考えにくい。

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このアパートを良く知る内部の犯行であるのは間違いないと思われた。

その時他に在宅していたのは202号室の老人だけだが、尿漏れがひどく歩くのもおぼつかないよぼよぼのおじいさんなので、すぐに戻ってくるかもしれない私が部屋にいないのを察知し自由の利かない体で隣人のお金を盗むほどのアグレッシブさは持ち合わせていないだろう。

 

どうしたものかサンドラさんと緊急井戸端会議をしていると隣人がスーパーの袋を抱えて帰って来た。

サンドラさんが事情を告げると

まあ!!なんてこと!!!私は出かけていたし何も気が付かなかったわ!!

誰かよそ者が部屋に入ったのね!!!ああ、怖い!

とものすごい大仰でオーバーすぎるのではないかというリアクションを返してくる。

彼女の見えないところでサンドラさんと目くばせをする。

 

ね、joE、あやしいでしょ?

うん、サンドラさん、あやしいね。

 

と、何も言わなくても目を見ればお互い何を言っているのかわかった。

こんな時ではあるが遠い国の友人と心を通わせるのに言葉なんていらず、世界はひとつだと感じさせる感動の一瞬だ。

 

目くばせをする私たちに気づかず、この前近所でこんな泥棒が入った、とかやっぱり202号室の老人のケアをするために住人でない人が入り込んだりするのが危ないとか、ベラベラと不自然なほどな熱で外部犯行を主張し語り続けているのがますます怪しい。

 

私が留守にしたのは昼の2時くらいからのほんの15分の間であり、

 サンドラさんも言うには貧乏人しか住んでいないと明らかにわかるこのアパートはそもそも空き巣に狙われるような対象ではなく、

(ファベイラのそばと言っても住宅街なので、はるかにお金がありそうな一戸建てやアパートがまわりにごまんとある。大きな通り沿いでないし近所は知り合いばかりなのでよそ者がいたらすぐに気づかれるようなところだ。)

通りすがりの泥棒であったら金目のものは全部持っていくはずで、パソコンは手付かずで財布ごとでもなくお金だけを抜き取るのはおかしいとの推理を名探偵サンドラさんは披露していた。

サンパウロに帰る前だったので部屋には最後にしまって持って帰ろうとテーブルの上に日本製のパソコンを置いたままにしてあった。

パソコンなどの物質を盗んでしまうと家に隠しても万が一踏み込まれた場合れっきとした証拠になるしどこかに売るにしてもそこから足がつきバレる可能性が高くなるので、瞬時に隣人がそれを計算してお金だけを抜いたのだという見解だ。

また、老人のケアをしている人は皆身元の知れた人であり、何日かに一度訪れる程度でそれより奥にある私の部屋の鍵が開いていることを察知して短い時間の間にお金を盗むことはまずあり得ないという。

身体はよぼよぼであるが頭はしっかりしているその老人にも確認したがその間には誰も訪れなかったと証言している。

 

サンドラさんの助けを借り、警察に電話する。

隣人があやしいとサンドラさんが事情を説明してくれるも、それほど大きな金額ではないし現行犯でないので今から警察官を現場へ急行させることはできず、警察署に被害届を出しに来いという。

 

 確かにたいした金額では無いし、歩いて行ける距離に交番も無いので、バスに乗って行った警察署で何時間も待たされ何も解決しないであろうことは予想でき非常にうんざりしたのだが、ここで泣き寝入りをしたら女がすたる、と力をふりしぼって警察署を訪ねることにした。

サンドラさんの助言では、このままこの隣人を野放しにするとエスカレートする恐れがあるので、警察に行っていろいろ話したという事実が彼女を脅かす抑止力になるだろうと言う。

言われてみれば確かにその通りだ。

ここブラジルでは、少なくともこの地域では、悪いやつらになめられたら骨の髄までしゃぶられるサバイバルな暮らしがある。

ここで、何か事が起こったら決して黙ってはいないぞ、とアピールするのはとても大事な事に思えた。

 

 なので警察に行く道すがら、知り合いという知り合いに話しかけお金が盗まれたことを言いふらして歩く。

みんな警察に行ったって面倒なだけでお金も戻って来ないだろうし無駄だと思うよ、と意見を述べてくれるが、もはやそういった問題では無い。

 

これはハム子(仮名)と私の、食うか食われるかの弱肉強食の戦いなのだ。ハムだけに。

 

ひとり警察の門を叩いたものの、やはり解決策は何もなく、明日か明後日に現場検証のために来てくれることにはなった。

私は翌日の仕事のためどうしてもサンパウロに帰らなけらばならなかったので、事情を話し後の立会いをサンドラさんに任せ、予定よりずいぶん遅れて夜行バスでリオを後にした。

 警察は明日か明後日に家に来ると言っていたが、なにせここはブラジルなので適当に言いくるめているだけで実際には来ないだろうと高をくくっていた。

 

 サンドラさんに連絡してみると、なんと翌日ちゃんと警察が来たという。

ブラジルにしては拍手したいほど素晴らしい対応だ。

だが、来たはいいが犯行ののち私が引き出し等家中をまさぐったので現場の保持もされておらず指紋等は採取できないと判断されたため、サンドラさんの立会いのもといくつか質問をし、ただ家をうろちょろしただけで帰っていったという。

やはりブラジル、というような心もとない対応だ。

 

結局証拠は何も無く、予想した通り解決することはなかった。

 

だがさすが我らが海千山千のサンドラさん、隣人には警察が来たときにしっかり指紋の採取もしていきサンドラさんやそれぞれの隣人たちのドアの指紋も念のため採って行ったので近日中に犯人がわかるだろう、としれっとウソをついておいたという。

彼女はかなり動揺しておりしばらくビクビクした様子で過ごしていたというので、サンドラさんのナイスアシストで一矢報うことはできたようだ。

後に私の部屋に日本から取り寄せた防犯カメラを取り付けたというおまけも盛ってくれ事後対策にも抜かりはなかった。

 

 

と、こういった事情が過去にあり、今回のブラジャー紛失事件も密かに彼女がやったのではないかと疑っているのだ。

他の服だと着ていたらバレるし、ブラひとつくらいなら騒ぎ立てないだろうし服の下に装着する類のものなので盗ってもバレないと踏んでつい手を出したのではないかと推測している。

 

それか罪な私の色香に負けた他の誰かが夜な夜な弄んでいるというのであろうか。

 

どちらにせよこの件もまた迷宮入りとなるであろう。

 

皆さんもブラジルでのブラジャーの盗難にはくれぐれもご用心、である。